2013年4月18日木曜日

去る4月16日に開かれた新型インフルエンザ等対策有識者会議(第8回)にて配布された新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)の通り、現行の行動計画の刷新が議論された。(これは「案」だが、成案で内容が大きく変わる事は無い筈だ。)

過去の高病原性トリ・インフルエンザH5N1亜型の変移種にターゲットを絞った行動方針から、現状の中国で発生しているインフルエンザA(H7N9)は病原毒性が低いと認識されていて、今回のトリ→ヒト感染以前ではノーマークだった。別ブログ「H7N9型鳥インフルエンザについて 2013-04-17 19:52:50 | 健康?」にも少し触れたが、鳥類への病原毒性の強いインフルエンザウイルスがヒトに於いても病原毒性が高いと、鳥類への病原毒性が弱いインフルエンザウイルスはヒトに於いても病原毒性が弱いと・・・人類は信じ込んでいたのだ。

そもそも強毒性と弱毒性の違いとは、インフルエンザ・ウイルス表面のHA(ヘマグルチニン)の種類に関係する。凡そ17種類在るHA型が、インフルエンザ・ウイルスの亜型名に使われているH1N1とかH2N2やH2N3やH3N1やH3N2等々のH1××/H2××/H3××がヒトに感染するインフルエンザウイルスのHA型なのだが、このHAの機能は目標とする対象生物の宿主細胞表面のエンドソーム膜に融合しウイルスのゲノムを宿主細胞内に送り込む事で感染する。その際に、切れ目のないHAを宿主体内細胞表面のエンドペチターゼ(タンパク質・ペプチド鎖の配列中央を切断するタイプのプロテアーゼ)と云う酵素で切り取った切断面に存在するアミノ酸の種類こそが、弱毒と強毒を分かつ。もし切断部位がリジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸で出来ているとヒトの全身に存在するエンドペチターゼであるフューリン(Furin)で切断され宿主細胞と融合してしまうので全身に於いて細胞がインフルエンザ・ウイルスに乗っ取られてしまうので全身性の疾患となり強毒性と呼び、もし切断部位が塩基性以外のアミノ酸ならば気道や腸管等の局所にしか存在しないエンドペチターゼであるトリプシン(trypsin)で切断され融合するので気道や腸管等の局所でしかインフルエンザ・ウイルスに乗っ取られないので弱毒性と呼んでいる。今日までの知見ではインフルエンザA(H5N1)のみをターゲットにしていた面が否めないので、インフルエンザA(H7N9)感染者拡大の報を受けて見直した・・・のだろう。

危機管理の一貫として新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)を一読しておかれることをお薦めしたい。尚、別ブログに書いた通り、私は梅雨の訪れと共に中国での流行は休止すると予想している。来シーズン以降、インフルエンザA(H7N9)がヒトヒト感染能を持つ前に中国当局での効果的な封じ込めに期待したい。

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