2013年5月27日月曜日

尖閣諸島問題のスタート地点はドコか?

中国首相、ポツダムで演説 尖閣念頭「日本が盗み取った」 - MSN産経ニュース:

2013.5.27 08:32 中国

 ドイツを訪問中の中国の李克強首相は26日、ベルリン郊外のポツダムで演説し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を念頭に「日本が盗み取った」と主張し、「世界平和を愛する人々は、第二次大戦の勝利の成果を破壊したり否定したりしてはいけない」と述べた。国営新華社通信が伝えた。
 李氏は、日本が受諾したポツダム宣言について「日本が盗み取った中国東北地方や台湾などの島嶼(とうしょ)を中国に返還すると規定したカイロ宣言の条件を必ず実施すると指摘している。これは数千万人の生命と引き換えにした勝利の成果だ」と強調した。
 李氏は「ファシストによる侵略の歴史の否定や美化の言動は、中国人が承諾できないだけでなく、世界各国の平和を愛する正義の勢力も受け入れられない」と述べた。

 昨年9月の尖閣国有化について、当時、副首相だった李氏は「主権への深刻な侵害だ」と非難していた。(共同)

                     ----引用ココまで----

さて・・・、別ブログの過去記事でも扱った尖閣諸島絡みの記事は以下の通り・・・


尖閣諸島について(日本国外務省の公式見解)

これらの中で私は、以前からの日本政府の公式見解を鵜呑みにして中国の主張は論拠も無いと一笑に付してきた。だが、ココに来て初めて?中国政府は言い掛かりではない反論を始めた・・・と思う。(いや、実は、以前から中国なりの正論を主張していたのカモ知れないが、日本のマスコミは中国の戯れ言として、論理的な主張を行っているとは報道しなかった?)敗戦国である我が国は、この際、ポツダム宣言受諾以前の我が国領有権の正当さ等を主張しても無関係である。

米・英・中の三国の首脳が会し連合国としての対日方針などが議論されたカイロ会議の合意を記したカイロ宣言には署名が無く国際法上の有効な「宣言」と云えるかは議論の分かれる処だが、我が国が受諾したポツダム宣言には、そのカイロ宣言の条項は履行すると書かれている。

8条 カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ

この条文に於ける「吾等」とは「合衆国大統領」「英国総理大臣」及び「中華民国政府主席」である。

カイロ宣言には、「第一次世界大戦により占領した太平洋の全島奪還、及び日本が中国領土から奪った領土を中華民国へ返還」と書かれている。署名が無いカイロ宣言だが議事録はキチンと米国公文書館に保管されていて、そのカイロ議事録の323~324頁に、合衆国大統領ルーズベルトは、中華民国政府主席蒋介石に対して「琉球諸島全部を中華民国に渡したい」と申し入れるが、蒋介石は拒否したので、沖縄県の帰属は日本へ残すことになったと書かれている。

因みに、我が国の政府の主張は、ポツダム宣言受諾後の我が国の実際の領土を確定した1951年のサンフランシスコ平和条約 (日本国との平和条約)に於いて、戦後日本の領土が確定した折に中国・台湾は異議を唱えずとして最初の根拠に挙げている。
このサンフランシスコ講和条約 (日本国との平和条約)には、中華民国も中華人民共和国も招かれていない(ソ連、ポーランド、チェコスロバキアの共産圏3国は講和会議に参加したものの、同じ共産主義国の中華人民共和国の不参加を理由に会議の無効を訴え署名せず)。又、韓国は「韓国は日本と戦争状態にあったことはなく、連合国共同宣言にも署名していない」ことを理由に、韓国は講和条約署名国となれないと米英が決めた。こうして、日本に最も近い二カ国は日本の領土確定に異議を唱える事が出来なかった。

余談だが、ラスク書簡に於いて米国政府は公式見解として「竹島は韓国の領土として扱われたことは無く、1905年以降日本領である」とされサンフランシスコ講和条約から竹島が外されたのだが、このサンフランシスコ講和条約が発効する直前の1952年1月18日、韓国政府は突如としてマッカーサー・ラインに代わる李承晩ラインの宣言を行い、島根県の竹島に韓国軍が武力上陸した。一方的な宣言である李承晩ラインに対し日米両政府は非難した。その後、険悪になった日韓両国は竹島問題を有耶無耶にしたまま1965年(昭和40年)の日韓基本条約の締結に於いて国交正常化したが、竹島問題は現在も日韓での外交問題となっている。


そして、2012年11月14日に中国、韓国、ロシアによる「東アジアにおける安全保障と協力」会議が開かれた。席上、中国外交部直属の中国国際問題研究所副所長郭憲綱は「日本の領土は北海道、本州、四国、九州4島に限られており、北方領土、竹島、尖閣諸島にくわえて沖縄も放棄すべきだ」と公式に演説した。そのためには中国、ロシア、韓国による反日統一共同戦線を組んで米国の協力を得たうえで、サンフランシスコ講和条約に代わって日本の領土を縮小する新たな講和条約を制定しなければいけない、と提案している。


尖閣諸島問題のスタート地点は、ポツダム宣言受諾なのか、サンフランシスコ講和条約締結なのか?まさか、中国共産党指導部の仕切り直し案に賛同する国は大韓民国だけだと思うケド・・・。

もしポツダム宣言受諾をスタート地点に据えれば、「合衆国大統領」「英国総理大臣」及び「中華民国政府主席」が主語になるのだが「中華民国政府主席」なる者を中華人民共和国首脳が置き換わる事は肯けない。国際法上の慣習から見ても、サンフランシスコ講和条約をスタート地点とするべきだろうし、日中共同声明日中平和友好条約(日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約)で異議が唱えられず、条文では主権・領土の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉が記されている。

何れにしろ、過去に交わした条約よりも最近交わした条約の方が優先されると云うのが、
慣習国際法(国際法の法源)である。少なくとも日中の二国間では、この問題を解決させる事は出来ないだろう。このまま不安定な状況下で我が国は突っ張り続けるか、国際司法裁判所に共同提訴するか、の二者択一しか無い筈だ。上記の中共の主張に因れば「日本の領土は北海道、本州、四国、九州4島に限られて」しまうので尖閣諸島だけの割譲では根本的解決には至らない。

やはり、これはギクシャクしながら戦略的互恵関係で正常化を進めるしか無いと云う結論になってしまう。




こう云う難しい問題は偉人の弁に学ぶのが良いのカモ知れない。

シャルル・ド・ゴール 「国家に真の友人はいない」

ニッコロ・マキャべリ「隣国を援助する国は滅びる」 

ウィンストン・チャーチル「我が国以外は全て仮想敵国である」

0 件のコメント:

コメントを投稿