2013年7月11日木曜日

放射性ストロンチウム-90

過去、別ブログに書いていたが民主党政権下で放射性ストロンチウム-90の汚染マップを出す出さないで揉めた事があった。その後の政権交代で、その当時の計測データが公開された。

福島第一原子力発電所の重大事故で放出された放射線量は、放射性セシウム-137が 1.5×1016ベクレル、放射性ストロンチウム-90 が 1.4×1014ベクレルと推定されている。つまり、放射性ストロンチウム-90は放射性セシウム-137の放出量の約100分の1だとされた。

だが、政権交代後に公表されたデータ・・・原子力発電所から 2~7km離れた地点において 4/30~5/1 にかけて採取された地表土壌の放射能濃度は、放射性ストロンチウム-90 濃度が 4.1~68 ベクレル/kg であり、放射性セシウム-137 濃度が 17,000~270,000 ベクレル/kgであり、放射性ストロンチウム-90は放射性セシウム-137の検出量の約2000分の1〜4000分の1であった。

計算して得られる生成量より、原子力発電所から 2~7km離れた地点で採取された量が約20〜40分の1だった場合、実際の放出量が約20~40分の1だった(炉内に多く残留している)か、放射性セシウム-137とは異なる拡散をしたかの何れかだと思うのだ。これはキチンと検証すべき問題なのに、この問題を意図的に蒸し返す事を避けているかに思えてしまう。

放射性セシウム-137 と放射性ストロンチウム-90 を経口摂取した場合、放射性セシウム-137は物理的半減期は約30年だが生物的半減期は70〜100日とされていて主にγ線を放出、放射性ストロンチウム-90は物理的半減期は約29年だが生物的半減期は50年以上とされていて主にβ線を放出する。放射線の性質の違いから放射性ストロンチウム-90の方が放射性セシウム-137 より怖いと騒がれたのに・・・

尚、放射性ストロンチウム-90は放射性セシウム-137の検出量の約2000分の1~4000分の1だった理由には、主に2通りがあり、安心な説ではヨウ素の融点113.6℃、沸点183.4℃、セシウムの融点28.5℃、沸点668.4℃と比べてストロンチウムの融点769℃、沸点1384℃が高いので燃料棒の温度がそこまで上昇しなかった為に放射性ストロンチウム-90の飛散量が少ないと云うモノだ。逆に、ストロンチウムの方がイオン化したり化合物化し易いので冷却水と共に海に流れ出たか蒸気として広範囲に飛散したと云う説もある。

例え隠蔽しても廃炉作業で炉心の解体が始まれば隠し通せるモノとは思えないので、放射性ストロンチウム-90は恐るるに足らずと云うのなら早い内に正式な情報公開を行うべきではないだろうか?

不安を払拭すべく正しい情報を積極的に公開しても、原子力反対しか眼中にない方々には届かないのカモ知れない。又、情報公開が新たな風評被害を生むと云う主張も尤もだ。だが、商業的原子力発電は・・・今の技術階梯にある地球人類には必要悪として享受すべきプロメテウスの火として、再び地球上で原子力発電所で重大事故を起こさない為にもキチンとした情報公開は不可欠なのではないだろうか?

尚、余談だが・・・別ブログ過去記事にも書いた筈だが、イタイイタイ病(岐阜県の三井金属鉱業神岡事業所(神岡鉱山)による鉱山の製錬に伴う未処理廃水により、神通川下流域の富山県で発生した鉱害で、日本初の公害病で四大公害病のひとつ)の後、神通川流域の除染が完了したとされるのは2012年3月の事だ。1910年代の発生から因果関係の認定まで約60年を要し、除染が開始されてから約33年を経て・・・不完全ながら除染が完了したのだ。(不完全ながらと表現したのは、勝訴から30年を経て公害への関心が薄まり除染事業の継続への資金難に陥り当初の計画通りには除染作業は行われなくなり形としての終結宣言を下したに過ぎない・・・と私は思うからだ)福島第一原子力発電所で発生した重大事故に依る汚染の除去は、恐らく・・・神通川流域土壌復元事業よりも地元住民の熱意と膨大な期間と莫大な費用が継続し続けなければ当初の計画通りには完了しないと思うのだ。過去の実例を鑑み・・・被害を受けた方が納得できる形で人生をやり直す事が出来る保障へ切り換える事も必要なのではないかと思う。震災発生から2年を経過しても未だ30万人を越える人々が避難している現状を他人事として放置したままで我々日本国民は身勝手に何を語ろうと云うのだろう?

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