2014年7月9日水曜日

NewScientist Webより

NewScientist - 2014年7月2日 - 脳の一部である前障に電気刺激を与えることで、「意識のスイッチ」をオフにすることができたと発表:
前障には、バラバラに活動する脳の各エリアの知覚を一つの体験となるようまとめる役割があるとする学説が提唱されてきたが、今回の実験を行ったKoubeissi氏も同様の見解を示している。


この前障こそが、「ある特定の意識的知覚を共同して引き起こすのに十分な、最小の神経メカニズム」としての意識に相関した脳活動の座、受動意識仮説に於けるヒトをヒト足らしめる「心」の座なのカモ知れない。受動意識仮説とはAI研究の第一人者であった前野 隆司(まえの たかし、1962年 - )現・慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授が提唱した概念である。

私も別ブログで何度か受動意識仮説ネタを紹介している(ツモリ)


概ね、これらが受動意識仮説ネタのエントリーだが、「心の哲学」としてヒトの心のメカニズム論として私自身が得心がいく仮説なので、私はこの考え方を信じている。ヒトのリトルピープル(個々の人間の意識の深層にひっそりと存在する仮想人格の「闇」)が口々に叫ぶ様々な考えや閃きを、雑多なエピソード記憶から得た好悪感覚を糸口に編み上げていくと云う「情動」の源として、エピソード記憶の生成に携わり「私」と云う感覚を産み出す「空気さなぎ」的な中枢が前障にあるカモ知れないと云う訳だ。

尚、受動意識仮説については、別ブログのエントリーを繋ぐよりも前野教授御自身の解説ページを御覧頂いた方が話が早いだろう。

「意識」は受動的だろうか?(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 前野 隆司)

現代の脳科学の知見での前障が属する大脳基底核回路要素との関連は弱いと判明していて、解剖学的には脳のあらゆる部位からの入力を大脳皮質経由で受け付け、視床経由で大脳皮質に出力を返している。薄くて不規則なシート状の神経構造で島皮質内側面の下に隠れて存在している。

万物の霊長として人を人足らしめ魂を高尚足らしめていた中枢が前障だとすれば、受動意識仮説としての「川の下流にいる私」の正体が判明した事になるのだろう。他の生物には備わっていないとされた人間の魂の最重要な部分である「私」が、たわいもない錯覚だなんて信じたくないかも知れない。だが、この事は釈迦が説いていた自明の理であった。この事で人類の偉大さが損なわれる事は断じて無く、今後は新たな人類の価値が見出されていく新たなパラダイムが始まったのだ。既に我々は経験的に知っていた事・・・「私」と云う部分に率いられた自分が存在するのではなく、小さな自分(無意識)の集合体こそが「私」であると云う事を再確認するに過ぎない。

歴史上の大発見が為されたと思う。

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