2014年8月30日土曜日

昨今の異常気象の原因

広島市北部の土砂災害に対して、馬鹿でも判る様に問題を平易化すべくマスコミは誰かを悪人にして槍玉に挙げようと試みてきた。土砂災害危険区域に大規模な住宅地を建設した昭和40年代の造成開発を悪としてみたり、広島市の避難指示発令遅れが悪いと決めてみたり、二転三転して、今では異常気象が悪となったらしい。マスコミが異常気象の原因としているのは、云わずと知れた人類文明が排出する地球温暖化ガスである。原発を全部止めて火力発電で急場を凌ぎながら・・・人類が発生削減を怠った炭酸ガスが原因だと云わんばかりである。

昨今の異常気象・・・従来は台風到来と云う判りやすい形での豪雨被害で人命を奪う悲惨な事象が発生していたが、今回は秋雨前線に沿って侵入した湿った南方海上の空気+例年より東に偏在した太平洋高気圧の周りを回って届けられたオホーツク海周辺の冷たい空気がピンポイントで出会ったと云う理論上は起こり得ても平年30年間では発生しなかった気象事象に因る甚大な人的被害の理由を、私如き素人に尋ねてくる方が多いので記事にしてみようと思い立った次第。

勿論、素人の妄想の域を出ない眉唾な原因究明である事を最初にお断りしておく。説得力のある本物らしい究明は、恐らく某放送協会がスペシャル番組等で行って下さる筈だ。

異常気象云々と叫ばれだしてから久しいが、何を以て異常と云うかだが、気象庁の呼ぶ処の「平年」との差違を根拠としているらしい。この「平年」と呼ぶのは昭和26年以降の気象データーの平均を以て作成されているらしい。その中でも「直近30年間の平年に対して著しい偏りを示した天候」を異常気象と定義付けされている。
地球温暖化と絡めて昨今の異常気象・・・約70年分の平均値の偏差範囲内から逸脱する事に危機感を煽っているのだろうが、そもそも、これだけ異常気象が続けば偏差範囲自体が広がっていくので、今日では定義とは離れて「荒天」や「その地域に住まう人間への不利益な天候」と云う意味合いで使われる事が多い様だ。
しかし、30年や70年と云う短いスパンで異常と呼ぶ程、気象変動に加わるファクターの変動は短い周期だけで変化している訳では無いので、歴史を繙く迄もなく、逆説的に直近の30年間なり70年間こそが「人間への不利益な天候」の頻度が少なかった異常気象だったと云う意見もある様だ。
地球温暖化の原因が人為的な二酸化炭素排出量の激増に因るとは私自身は思っていないが、海外渡航歴の無い埼玉県の女性が70年ぶりに国内でデング熱に感染したとする報道を見ても、国内随所でマダニ媒介性感染症の発症が報告され、熱帯域に分布するセアカゴケグモの国内越冬が確認されるに至っていて、地球温暖化が着々と進行中である事実を疑う事は出来ないだろう。



こうして2000年間のスパンで切り取れば寒冷化傾向に振った中世から、産業革命を経て人為的に放出した温室効果ガスに依って地球温暖化が進んでいる風に見えてしまうのカモ知れない。

私は、地球温暖化の最大の原因をミランコビッチ・サイクルと思っている。ミランコビッチ・サイクルは、地球の公転軌道の離心率の周期的変化、自転軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動という3つの要因により、地球への日射量が変動する周期である。


19000年周期22000年周期24000年周期の地球の自転軸歳差運動の周期的変化(Precession)
41000年周期の地球自転軸の周期的変化(Obiliquity)
95000年周期・125000年周期・4000000年周期の地球公転軌道離心率の周期的変化(Eccentricity)
北緯65度の夏の日照量(Solar Forcing)
氷河期の段階(Stages of Glaciation)

上記グラフは、時間軸がkyr(K年=1000年)単位で、右から左と見慣れる判りにくい表記なのだが、これが指し示した現在(Now)は、地球の気温上昇期末期だと判る。この数千年後には何段階かの段階を経て氷河期へ突入していく事も予想に容易い。

詳しくは、Wikiミランコビッチ・サイクルを読んで頂きたいが、こう云った数万年規模の3つの周期的変動が複合された日照量の変動が、今日までの地球温暖化・寒冷化の大きな要因になっていた事は事実だろう。そして、更に1920年代の科学的知見以上の太陽活動にも様々な周期の変動がある事が判り始めていて、太陽や月と地球との関係性といった物理的な条件の他にも、当の太陽自身の活動周期も気候変動に大きな影響を及ぼしている事は疑う余地は無いだろう。それは、熱源としての太陽の活動周期と云う意味合いの他にも、太陽活動が下がり太陽風が弱まると銀河放射線が強まり、雲の発生が促進され曇天や降雨降雪傾向が強まる等の周期的な変動が周期的な影響を及ぼすのだ。そして、それに加えて、周期的では無い突発的な要素として巨大隕石の衝突が挙げられる。火山活動も突発的な要素と思いがちだが、最新の研究では上で気候変動に影響を及ぼすファクターに挙げた太陽活動の周期が大きな影響を及ぼしている事が判り始めている。そして、無視出来ないのが大洋深層海流を含めた全地球規模の海流の動向だろう。

今日の異常気象の原因としてIPCCの槍玉に挙がっている人類文明が放出した温室効果ガスが原因なら下グラフのようにIPCCが警告した気温上昇の予測とは全く異なる気温上昇を辿っている理由は、IPCCが掲げた地球温暖化モデルが破綻していると云わざるを得ない。IPCCは、今日の地球温暖化の原因の93%が、人類由来の地球温暖化ガスの影響だと言い張り、その他要因(太陽活動やミランコビッチ・サイクル)の影響は7%程度だと強硬に主張し続けている。


断じて、そんな事は無いだろう。ミランコビッチ・サイクルも地球気温は極大期に向かっている現在、影響は僅かな人類由来の地球温暖化ガスの影響を加えて最近100万年では最大の気温上昇となり地球上の生命に甚大な被害を与えるカモ知れない。今後激しさを増すだろう地球温暖化は、人類全体への脅威であり人類共通の課題であり人類全体で乗り越えていくべき試練である筈だ。その前で、似而非科学を振り回して問題の重大性を過小評価させようと考えているのだろうか?

太陽活動には、観測される黒点数から有史以前から判明していた約11年周期の変動が知られている。現在のサイクル24は既に極大期を終えたとされ、サイクル24は前回のサイクル23に引き続き太陽活動が低下している事が判っている。サイクル24の太陽活動は、最近の100年で最も弱いのだ。


この太陽活動の低下が昨今の異常気象の原因だと私は思っている。太陽活動の動向は観測される黒点数でも現されるとする学説から、過去400年間の黒点数の観測データを参照すると、恰もロウソクの炎が揺らぐように太陽活動にも揺らぎがある事が判る。



こうして、現在のサイクル24は、過去にも有った太陽活動が低迷したマウンダー極小期やドルトン極小期の様に太陽活動が低迷期に入った事を示しているのカモ知れない。太陽活動が低迷している事こそが、今日の異常気象の原因では無いかと云うのが今回のネタである。私は、太陽活動が地球の気象に及ぼす影響は人類由来の温室効果ガスよりも大きいと考えている。


太陽活動の変動は地球の気候に影響を与えていると考えられるが、太陽の変動と地球の気候の間の関係を直接量的に証明するのは非常に難しく現在も研究が続いている。IPCCが太陽活動の変動が地球の気候変動に与える影響を過小評価している最たる理由が、太陽活動が低迷しても太陽から受ける熱量が減少しないからと云う観測的事実である。

これには別ブログ過去記事に於いて、私は素人ならではの仮説を立てている。炎の燃焼が低迷すると青色の炎が赤色の炎になる場合があるが、巨大な核融合炉である太陽活動が低迷したとしても放射されるエネルギーの中での赤外線や可視光線の量が減るとは限らないのでは無いか・・・と思うのだ。太陽の中心コア(直径20万Km)では、1秒毎に3.6 ×1038  個もの莫大な数の水素原子核がヘリウム原子核に変化し続けていて、これによって1秒間に430万トンの質量が3.8 ×1026 Jの莫大なエネルギー(TNT火薬換算で9.1 ×1016 トンに相当する)が発生しているとされている。そのエネルギーの大部分はガンマ線に変わり、一部がニュートリノに変わる。ガンマ線は周囲のプラズマと衝突・吸収・屈折・再放射などの相互作用を起こしながら次第に「穏やかな」電磁波に変換され、数十万年かけて太陽表面にまで達し、宇宙空間に放出されている。つまり、今日我々が目にする太陽の光と熱は数十万年前の核融合反応に因って発生したガンマ線が変化したエネルギーの一部分に過ぎない。今日の我々の観測の中で太陽活動が低迷しているとしても、それは数十万年前の核融合活動の変動の結果なのだ。そして、例えエネルギーレベルが低下して発生するガンマ線が変動しても、青い炎が赤く変わる様に・・・太陽表面から放射される広帯域の電磁波全体としてのスペクトルが変わる事が有り得るだろうけど、その中の狭いバンドである赤外線領域と可視光線領域には大きな変動は見られないのだ・・・と思っている。(尚、怖い話だが・・・、太陽中心核で行われている核融合活動に伴い発生するニュートリノは数十万年も要さず約500秒前の活動を教えてくれている。理論値より遙かに少ないニュートリノしか観測されない事で、過去何度も太陽中心核での核融合反応の理論モデルを組み換えてきたモノの、更にニュートリノ振動を考慮に入れても、理論値よりも少ないニュートリノしか観測されない事から、恐らく10万年後の我ら地球が太陽から受け取る熱と光は大幅に減っていると予測されている。これは我々人類の科学水準では、我らの主星であるG型恒星についての知見が不足しているのカモ知れない。太陽の推測年齢は約46億年で、中心部に存在する水素の50%程度を熱核融合で使用していて、主系列星として存在できる期間の半分を経過したとされている。だがしかし、そもそも知られていた通り、我らの太陽の中心核はppチェイン熱核融合を継続するには温度が低すぎるとされていたが、量子的トンネル効果が助けているとされ、pp1/pp2/pp3の分岐確率から月面上に吹き付けられた太陽風によるヘリウム3の含まれる量が理論値より少ない事から、我々のppチェイン熱核融合理論には若干の齟齬があると考えられている。その事は、飛来するニュートリノをエネルギー量別に比べる事でpp1/pp2/pp3の分岐比が明らかだからだ。)

ここでは、太陽活動が低迷期に差し掛かっているけれども赤外線領域と可視光線領域でのエネルギー量は減っていないモノと仮定して話を進める事にする。こう仮定すると太陽黒点の観測数が少なかった時期=太陽活動が低迷な時期として、小氷河期が到来したとされるマウンダー極小期等との矛盾を来すと思し召されるカモ知れない。マウンダー極小期に於いて、地球が太陽から受け取っていた熱量は1%程度しか減っていない事が明らかになっている。だから、太陽自体が放射する熱量の減少が直接的な理由では無いと思うのだ。

太陽活動が低迷すると太陽風も弱まるのだが、太陽風が弱まると太陽風と地磁気の相乗効果で発生したヴァン・アレン帯の密度が下がり、ヴァン・アレン帯が退けていた銀河宇宙線の地球への到達率が高まると云われていて、その事で雲の発生が促進されゲリラ豪雨等に代表される異常気象を招いていると云う仮説がある。マウンダー極小期の際は、低緯度での雲の発生が促進され雲に遮られて日照量が減少する為に小氷河期に突入したのでは無いかと云う仮説である。

銀河宇宙線(Galactic cosmic rays; GCR)とは、太陽系外から飛来した高エネルギー荷電粒子であり、陽子電子、完全にイオン化した軽元素の核からなり、地球大気中において宇宙線による核破砕の強力な発生源となっている。太陽からもフレアコロナ質量放出(CME)の際には放出されるが10年間で12%程度の発生確率とされている。(前回は2012年7月に巨大な太陽フレアが地球近傍を通過したが離れていたので被害は無かった)大気中の雲の生成に影響を及ぼす銀河宇宙線とは、軽元素の核(原子核)そのものでありこれが大気中で水の雫の核となり雲を生成するとされていて、それが低高度で発生すると日照を遮り気温が低下しゲリラ豪雨と云った局所的な集中豪雨の原因となり、高高度で雲を発生させると地球の熱を蓄え温室効果を発揮し気温上昇を招くのだそうだ。

私は、昨今の異常気象の原因とは、太陽活動の変調にあると考えている。何れにしろ、2000年の太陽活動サイクル23の極大期から、それまでの平年と云う30年間とは異なるステージに突入したのだと思う。世紀末は終末では無かったと全世界でホッとしたのだが、実は人の寿命より遙かに長い太陽活動周期に於ける一過性の極小期に突入したのか、今後は太陽活動自体が低迷の一途を辿るのかも知れないのだが今の我々人類には知る由も無い。勿論、そんな事は全くの杞憂で、次回サイクル24からは従来通りの元気な太陽に戻るのかも知れない。だが、当分は最近の30年・70年には起きなかった異常気象だとする気象災害が次々と発生する恐れが高い事は想像に容易い。昨日の記事にも書いた通り、自分と自分の家族に相応しい「命を守るための最善の行動」について日頃から考察を深めておくベキだ。


後世の我々の子孫に少しでも多くの化石燃料を温存する為に、全世界で協力して炭酸ガスの排出量を制限していく取り組みには意義があると思う。だが、それに対する説明がIPCCの地球温暖化予測モデルでは、正常な思考力をもった大人を欺し通せるとは到底思えない。IPCCは人類科学の無知蒙昧を恥じず、人類が初めて遭遇する大規模な気象変動に対して、謙虚に予測不能を発表すべきだ。風が吹けば桶屋が儲かるのカモ知れないが、桶屋を儲けさせても風を吹かせたり吹かせなかったり出来る訳では無い。今日のIPCCの有り様は、桶屋を儲けさせる為の御用学者でしかない・・・と思う。

もし、IPCCの見解通りに産業革命以降に人類文明が排出した温室効果ガスの蓄積が今日の地球温暖化を招いていて、その人為的な地球温暖化の為に今日の異常気象が起きていて、人的被害が頻発しているのだ・・・とすれば、現実問題として人類文明由来の温室効果ガスを大幅に削減する具体的方策は、南北問題の解決に等しく従来の国同士の枠組みの中では恐らく達成できないだろうと思う。だが、この眉唾な説を信じ急進的に解決を進める途は戦争しか無い。我々未熟な地球人類が、共通の課題を協力して克服する為には、似而非科学的な「政治的に正しいおとぎ話」では駄目なのだが・・・


正常性バイアス

2014年8月豪雨に因る広島市北部での大規模土石流が発生した。先ずは、広島市北部の土砂災害で被害を被った皆様にお見舞いと、お亡くなりになられた方へお悔やみを申し上げたい。

問題を平易化すべくマスコミは誰かを悪人にして槍玉に挙げたいのだろう。広島市の避難指示発令遅れが悪いと決めてみたり、昭和40年代の造成開発を悪としてみたり、二転三転して、今では異常気象が悪となったらしい。

# 私信や電話で、ずぶの素人である私に昨今の異常気象の原因をお訊ねになる奇特な方が多いので記事にしようと思い立ったのだが、昨今の異常気象の原因ネタは次回の宿題とさせて頂きたい。

で、異常気象は異常気象だとして、昨今頻発する異常気象で人的被害が何故相次ぐのか、今後我々はどうすれば良いのかを考えてみたい。

私の半世紀の人生の中で、ここ最近の15年位の間に「大自然の猛威の前には人間は無力」と思わせる災害が多い様に感じてしまう。私が生まれる前や物心が付く前には日本でも自然災害で多くの犠牲者が出る事態が頻繁に起きていて小学校の社会科でも習った。地震、雷、火事、おやじ(大山嵐)・・・大自然の猛威の前には人間は無力な存在だった筈なのに、15年前からの約30年間の平和と安寧が、恰も人類の英知が自然の猛威に打ち勝ったと錯覚させてしまっていたのカモ知れない。

耐震基準の強化で地震被害から、津波防潮堤の整備で津波被害から、防潮堤の整備で高潮被害から、都市部での動力排水で豪雨時の冠水被害から、土木技術の進歩で土石流や崖崩れから、人間を守り遂せたと勘違いさせてしまったのだ。その実は、想定された範囲内の事象しか発生しなかったので被害が発生しなかったと云う事が、2000年以降に次々と想定を超える自然災害が発生し、馬脚を現してしまった訳だ。

マスコミの論調では、広島市北部の土砂災害の原因は、被害地域一帯の地盤は古くから何度も土石流が発生していて土砂が堆積してできた「扇状地」と云う土砂災害が発生し易い場所に安易に大規模住宅地を造成し、都市計画の段階で次の土石流の発生を想定し一定の排水が出来る流路幅等を確保すると云った砂防等の安全配慮を怠ったとした。

扇状地には家を建てるな・・・と高校地理の時間には教わったが、日本ではこう云った扇状地に住宅地が多く造成されている。そして、その大部分で土石流に備える砂防対策等は、最大でも時間雨量50mm・1時間程度を想定して設計されているのでは無いだろうか?(因みに、地元岡山市は、時間雨量40mm・1時間、48時間の総雨量257mmで設計されている。)


現実に国内各所で、2000年以降時間雨量100mmを超える豪雨が頻繁に観測される様に成ったので、想定を引き上げるべきだと云うコンセンサスに至るに容易いが、新しい想定雨量は何mmにすべきだろう?ゲリラ豪雨の降らない場所は国内に存在しない筈なので、想定すべきは時間雨量100mm・1時間なのか?2倍の時間雨量100mm・2時間なのか?それとも最悪に備えると云う意味で時間雨量200mm・1時間とか時間雨量200mm・2時間なのだろうか?

私は素人なので、時間雨量最大50mm・1時間を前提に設計された都市計画を、時間雨量最大200mm・2時間にバージョンアップするのに必要な費用が如何程なのか判らないが、全国規模で取り組んだとして、そのコストを自治体や国が捻出する為には、莫大な増税と相当の期間が必要となる筈だ。それならば、想定上安全だとされる場所に移り住んだ方が社会資本の無駄が省けると云う考え方もあるだろう。津波対策としての高台移転と同じ考え方だ。

もし津波対策としての高台移転先が、時間雨量50mm・1時間でしか設計されていなければ、津波被害の次に土石流災害を被る為に公費私費を投じて移転したなんて悲惨な事態をも招きかねない事になる。某自治体が取り組んだ同事業では地耐力不足が入植開始と共に保証担保するハウスメーカーの自主調査で判明したと報じられているが、見解の相違の中で自治体判定に於いて基準ギリギリの地耐力しかない造成が行われた都市計画が、以前の考え方ではオーバースペックとされた時間雨量最大100mmなんかで設計されているとは到底思えないのだ。

本来ならば予算の範囲内で少しでも良い普請をしたいと考えるのが、日本の伝統的な有り様だった。だが、西洋的な考え方が入ってきて、オーバースペック(過剰品質)は悪となった。仕様通りの品質を1円でも安く提供する事に血道を挙げる事になる。日本は法治国家である。尚かつ、日本人は正直で真面目だ。敢えて法の定めを破ってまで経費を浮かせて、余分に儲けてやろうとする輩は少数派だろう。その結論として、オーバースペックを廃して、法の定めの範囲ギリギリに耐えうる様に設計する事が求められる事になる。それこそが株主利益の為であり、業者の為にであり、安く提供される顧客自身の為でもあるとする考え方だ。

その結果、行政が想定した時間雨量にギリギリ耐える土木工事が行われたのだろう。その証拠に、2000年頃完工の砂防ダムや治山ダムが設置された地域でも想定上の降雨量だったから下流で人的被害は発生している。昨今の異常気象で、想定雨量が50年に1度規模の時間雨量50mm・1時間では覚束なくなっているのであって、過去30年・70年のスパンの中では50年に1度規模の豪雨被害は無かった訳だから、批判は結果論に過ぎないだろう。民主党の蓮舫国会議員は公開仕分けの席上で200年に1度・100年に1度に備えるのは不経済だと曰った。その後の東日本大震災での津波被害で、整備中や着工前の津波防潮堤が完成していたらと云う幻想から、この考え方は民主党の将来を危うくしたが、決して間違ってはいない。

もしも200年に1度規模の豪雨災害に備えて広島市北部地域が整備されていれば人的被害は出なかったと思うが、500年に1度、1000年に1度規模の豪雨災害が起きれば、やはり人的被害は発生してしまうだろう。高台移転と同じ考え方に立てば、500年に1度・200年に1度・100年に1度の自然災害に耐えられる立地条件の良い場所に移転すべきだとなるカモ知れない。その前に、過大な社会資本整備を行わなければ人的損害が発生する恐れのある立地への建築規制を行うと云う強硬策に出てくる自治体等も今後登場するカモ知れない。

だが、しかし、日本全土の人間が存在している(住んでいるではなく)場所総てを自然災害が起きないように社会資本整備を行う事は不可能だ。50年に1度の自然災害に備える社会資本整備は可能でも、100年に1度・200年に一度レベルの自然災害に備える社会資本整備は対費用効果の面からも非現実的なのだ。

我々国民自身の防災に対する考え方を、防災の為の社会資本整備を行政が行う事を待つ事から、我々自身が命を守る行動を最優先で実行すると云った風にパラダイムシフトすべき時が来ているのだと思う。

昨年2013年の伊豆大島に於ける土石流災害では多くの人命が失われたのだが、地元自治体が避難勧告を出さなかった事が原因とされた。この広島市北部の土砂災害に於いても避難指示の遅れが問題とされた。避難指示が出ていれば、被災地の多くの方々が避難を完了していて多くの人命が救われていた・・・とは言い切れない。

認知バイアスとは、統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤りなど人間が犯しやすい問題である。その中で、マスコミが陥っている誤りが「後知恵バイアス」であり、過去の事象を全て予測可能であったかのように認識する錯覚の事だ。その錯覚に基づいて大上段から行政を批判出来るのだろう。

そして、避難すべきだった危険地域の人々が陥ってしまう錯覚が「正常性バイアス」だ。自然災害や火事、事故・事件等といった何らかの被害が予想される状況下にあっても、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」などと過小評価したりしてしまう人の心の特性の事だ。恒常性バイアスとも呼ぶ。

著者の広瀬弘忠氏は災害・リスク心理学の専門家であり、国や公共機関、地方自治体や企業から依頼され、防災・減災のための研究調査を行っている災害研究の第一人者である。著作によると、「地震や災害に巻き込まれても、多くの人びとはパニックにならない」とあり、「地震や洪水、火災などの災害に突然遭遇したとき、自分の身を守るために素早く行動できる人は、驚くほど少ない。」「現代人は安全に慣れてしまった結果、知らず知らずのうちに危険に対して鈍感になり、予期せぬ事態に対処できなくなっている。」

一般に信じられている「常識」だとされていたパニック神話・・・「非常事態→集団が叫び逃げ惑う→パニック」は間違いだと説いている。安全に慣れた現代の日本人は危険に対して鈍感であり、災害や事故の際にパニックに陥る事は滅多に無く、パニックを恐れて行政側が情報を隠せば一般市民は「正常性バイアス」によって迫っている危険を過小評価し命を守る為の行動を起こさないと警告されている。

この著作は東日本大震災の7年も前に書かれているのだが、その東日本大震災では2万人近くの人々が津波から逃げ遅れたと云うショッキングな事実が報道された。その報道を受けて、私自身も、恐らく、日本中の誰もがが危機が迫ったら迅速に命を守る行動をしようと思った筈だ。だが、その年の台風12号で、私の住まう岡山市南区には笹ヶ瀬川堤防決壊の恐れがあるとの事で避難勧告が発令された。結果、我が家も地下室の排水設備の不備も在って地下室が冠水する被害を受けたのだが、その際にも御近所の床上浸水したお宅でも避難はなさらなかった。避難勧告が発令された流域には17万4000人の方々が住んでいたが、99%の住民が避難はしなかった。避難した僅かな住民も指定されている避難所には行ってみたモノの誰からも対応が無かった事から自宅に戻ったのだそうだ。(尤も、岡山市は流域17万4000人の住民に避難勧告を出したモノの28カ所ある避難所全部の定員は1万人未満なので、本当に17万4000人が避難所に向かっていれば、大変な事になっていた筈だ)幸いにして笹ヶ瀬川の堤防は決壊しなかったが、もし決壊していれば広大な干拓地である流域には海抜0m地域も海抜マイナス地域も存在していて、場合に依っては多くの人命が失われていたカモ知れないのだ。

我々の人間の心は、予期せぬ異常や危険に対してある程度、鈍感に出来ている。日常生活で何か変わったことが起きるたびに、いちいちビクビク反応していたら、心が疲弊してしまうからだ。ある限界までの異常は、正常の範囲内として処理する心のメカニズムが、「正常性バイアス」なのである。しかし、心を守るための機能が非常事態の際、「まだ大丈夫」と危険を過小評価し、避難するタイミングを奪ってしまうことがあるというのだ。

現に、その後も避難勧告や避難指示が出ているにも関わらず避難せず被災なさった方々の例も、避難勧告や避難指示が後れた為に避難がされる被災なさった方々の例も、枚挙に暇がない。

行政サイドが避難勧告・避難指示さえ出せば良いと云う風潮に陥っても困りものだ。避難勧告・避難指示に対する住民側の信頼感が減ずれば「正常性バイアス」が発動し肝心の時に避難する事が出来ないカモ知れないのだ。

大雨の際の高潮・洪水、大雨や長雨の際の土砂災害、台風接近の際の暴風雨、大雪、津波警報・噴火警報、緊急地震速報、凡そマスコミで見知った自然災害が自分の居る場所で起きようとしているとしたら、自分と家族と周囲の人々の命を救う行動とは何だろうかと事前にシミュレーションして、何をトリガーに避難を開始するか、どこへ避難するかを・・・自宅に居る場合、勤務先・学校に居る場合、通勤通学途上のシチュエーションで予め想定しておくべきだ。

イキナリ特別警報が発令され「命を守るために最善の行動を尽くして下さい」と云われても咄嗟の判断で上手く行動に移せるとは思えない。行政に任せっきりにせず、自分と自分の家族の命は自分達で守ると云う生き残ると云う意志を持つ事、予め定めたトリガーに従い迅速に行動する事、を各世帯に徹底するソフトウエアでこそ多くの尊い人命を救う事が出来るのだと知るべきだ。

今後は、今までの30年・70年とは異なる気象サイクルに突入したとする説もある。今後は、想定外の自然災害が我々を襲う機会が増えると思っておいた方が良い。今日までの異常気象が日常的に頻発する世界に変わったのだ。だから、日頃から「命を守るために最善の行動」について考察を深めておくベキだ。


2014年8月22日金曜日

自宅サーバー仮復旧



御心配をお掛け致しましたが自宅サーバーは仮復旧に漕ぎ着けました。但し、少し古めのPowerPCマシンなので少し遅いカモ?




尚、以前のナンダカ工事中風の表紙ページは取り去りました。取り敢えずport80で何かのWebページを表示させないとWebサービスが使えない・・・と勘違いしてしましたが、公開フォルダ上の全ファイル("index.html"も含めて)アクセス権を設定しましたが、従前通りのWebサービスは普通に利用出来ています。特別に設定等を変えなくても家族の端末でも従前の全Webサービスは復旧しているので、もしアクセスが復旧しない拙家族以外の拙サイトを御利用中の方は御連絡下さいませ。




#但し、Googleサービスの利用継続に於いて継続して認証が必要な事態に至れば、例の得体の知れない試験的な"index.html"を復活させるカモ?




尚、誘導雷はMac miniで止まりデータ用のHDDは奇跡的に無事だったのでお預かりしていた全ファイルも無事だったと思われますが、今回の件を受けてBackupの重要性を痛感した次第ですが・・・お預かりしているデータのBackupは御利用中の方御自身で御願い致します。




この度の騒動では、御迷惑や御心配を掛けして申し訳御座いませんでした。Serverマシンの御提供までお申し出頂きましたが・・・不勉強なモノで"Microsoft Windows Server"マシンは全く判りません。この度の事で、人の親切が身に染みました。本当に有り難う御座いました。








2014年8月20日水曜日

自宅サーバーが落雷により焼損。



辛うじてintelの古いMac miniで細々と個人規模ならではのWebサービスを提供していた自宅サーバーが一昨日の落雷により焼損してしまいました。


拙宅のWebサービスを御利用頂いて居られた皆さんには誠に申し訳ありませんが、当分の間サービスが停止致す事をお詫び致します。


自宅サーバーのURL http://www.0no.org  が"404 - File Not Found"と云うのも寂しいのでWebサービスは未使用だったレンタルサーバーにcnameしていますが、レンタルサーバーでは容量の面でもCGIの自由度の面でも従前のWebサービスは代替不可能です。

私専用のWebDAVサービスはレンタルサーバー上で稼働開始致しましたが容量の問題が在るので私以外には公開しておりません。悪しからず御容赦下さい。
 

2014年8月7日木曜日

え゛?

ハゲ予防と頭皮ケアは一切関係がない? - ライブドアニュース:



私の亡父は度重なる抗がん剤治療(化学療法)の波状攻撃にも負けず頭髪をフサフサと温存して、あの世に旅立って行ったのだが、この事は私の頭髪の行く末に仄かな光明をもたらしていた事は否めない。父型の家系はハゲ無い家系では無いか?・・・と、である。若い頃は、短髪だと毬栗の如く頭皮から垂直に髪が立ち上がり帽子を被っていても頭髪の反発力で帽子が浮き気味になる程だった。




約10年前頃、当時小学生だった娘さんに風呂場で薄毛を指摘される迄は緩いパンチパーマをかけていたのだが、頭髪の温存の為にパーマをキッパリと止めたのだ。パンチパーマをかけ始めたのは髪の毛の硬さで毎朝のヘアセットが大変だったからだったが、その頃にはパーマを止めても髪の毛は細く柔らかくなっていて手櫛でまとまる普通の髪の毛になっていた。娘さんに薄毛の指摘を受けた事は正直ショックな事で、髪の毛に良いとされる食品はセッセと食べ、髪の毛に悪いとされる生活習慣は改めた。ハゲ無い家系であると思っている我が家に恥じぬ頭髪を可能な限り長く温存すると決心したのだ。





我が家の洗面台にはNFカロヤンガッシュのボトルが何本か常時ストックされていて朝晩用法用量を守って頭皮トニック剤として愛用して・・・効果を期待していた。あれから10年間、何も使わないでいれば薄毛は進行していた筈だから・・・と、洗髪後の風呂場の鏡に映る頭部の輪郭線は見ない事にしていた。





私自身はAGA(男性型脱毛症)では無いと思っていて、その理由は・・・生え際のラインは後退せず頭部全体の毛髪が細くなるとなる薄毛症状である事と、元々、男性ホルモン過多とは思えないからだ。美容院で受けた頭皮診断では、「髪の毛の本数は大幅に減っていないし毛穴からは2〜3本の髪の毛が生えているが、毛穴を塞ぐ皮脂に邪魔されて髪の毛が生えにくい状況となっているので毛穴に詰まった皮脂を取り除く頭皮ケアを定期的に行っていきましょう!」と云われて、仰せのままに従ってきた。





今までの習慣や苦労を水泡に帰す冒初引用記事は何だろう?私自身も、世に蔓延る「健康情報の嘘」を笑いものにしてきたのだが、冒初引用記事がAGA治療へ足を運ばせる為のミスリードを誘っている(ステマ)だとしても、万人に通用する健康法は存在しないのと同義で万人に通用する薄毛治療等存在しないのだ。だからと云って、病院に行ったとしても私自身に最も相応しい治療が授けられると思ったら笑止千万なのだろう。以前、皮膚科と内科で薄毛の相談をした事があるが、(私より薄毛の)医師に薄毛では無いと認定されてしまったので、私のは薄毛では無く老化なのだろうか? 最近は、白髪も増えてきて鏡を見ると4〜5本は見え隠れする様になってしまった。





薄毛治療の実態は、当を得た最も相応しい治療だとしても半年は効果が判らないと云う代物なので、凡そ半年分のストックを使い切ってNFカロヤンガッシュを止めた事を後悔するのは1年後になるのだろう。





(惰性とは云え習慣を打ち切るのには、大きな決断が要求されるのだが・・・)
あぁ、止めるべきか、継続するべきか、それが問題だ。