2014年10月25日土曜日

巨大噴火 “今後100年間で確率約1%” NHK(10月22日)

巨大噴火 “今後100年間で確率約1%”
10月22日 18時35分


破局噴火とは、石黒耀が2002年に発表した小説『死都日本』に登場した言葉である。「近代国家が破滅する規模の爆発的巨大噴火」と云う意味である。日本は火山国であり、全地球上で活動中の活火山の7%が、地球上の陸地の0.25%と云う狭い国土に存在しているのだ。阪神淡路大震災や中越地震や東日本大震災で地震の怖さは再認識した現代日本人だったが、正規の意味での噴火とは言い難い御嶽山水蒸気爆発を機に火山に依る災害への危機感を懐き始めた。そう云えば東日本大震災以降には国内複数の活火山の活動が活発になったのを急に思い出したのだろう。



巨大カルデラ噴火のメカニズムとリスクを発表(神戸大学)



今後100年間に1%の確率で「近代国家が破滅する規模の爆発的巨大噴火」が起きるかも知れないので、火山活動監視への国家予算増額を求める為のプロモーション論文である。

その専門分野で多くの就職先を創出できれば、多くの優秀な学生を専門分野に招聘する事が出来る。原発再稼働問題で批判を浴びた「原子力ムラ(原子力発電を巡る利権によって結ばれた、産・官・学の特定の関係者によって構成された特殊な社会的集団及びその関係性を揶揄、又は批判を込めて呼ぶ用語)」だって同じ事、核物理学と云う象牙の塔を高く堅固する為には、多くの就職先を創出できれば、多くの優秀な学生を専門分野に招聘する事が出来て学問の進化発展を強力に推進する事が可能となる。その為に、専門分野の学究者は自らの研究以外にも関連する産官学のコンソーシアム形成を使命とするのだ。御用学者と呼ばれようと多くの就職先を生む「原子力ムラ」は学問の発展と不可分となるのだ。

過去に、地震学会は首都直下地震をも誘発し得る東海地震域の観測網強化への我が国全体のプライオリティを大幅に挙げる事に成功し世界最高水準の観測体制を構築する事に成功し多くの優秀な学生を専門分野に招聘する事に成功した。だが、地震学会は長い期間に亘って旧来の海溝型地震への知見を改める機会を逃して足踏みを続け、旧メカニズムを推す中心的人物の影響力減少を機に、新しい科学水準での新たな知見を集積しつつある過程で3.11を迎えてしまい地震学会全体に投じた莫大な国家予算を活かしきれず国民の不興を買ってしまう。(運が悪かったのだろう)

この地震学会の栄枯盛衰を傍観していた火山学会陣営への最大のチャンスが訪れたのだろう。現在我が国の活火山の110個の内、紛いなりにも監視体制が整備されているのが47,充分な監視体制が整っているのが8火山に過ぎない。こんな体制では(噴火とは呼べない)水蒸気爆発を予知する事等は不可能だ。一つでも多くの火山への観測体制の整備を進める事で、火山国日本にも関わらず火山学での就職先を用意できて居ないので火山学者の数は非常に少ないのだが、多くの就職先を創出する事が出来て多くの優秀な学生を専門分野に招聘する事が出来て学問の進化発展を強力に推進する事が可能となる訳だ。

地震予知が可能となる為には、地下深くの震源域に於けるアスペリティの分布・特性の解明固着・すべり状態の現状把握、等が可能となる地中レーダー的な観測装置の開発が肝である。プレート境界型地震予知は、見えない処に置いてあるオルゴールのシリンダー上のピンが何時コームを弾くかを予測する事だ。もしも、オルゴールのシリンダー上のピンとコームを観る事が出来れば予知精度は飛躍的に向上するだろう。今日までは、何十年毎や百何十年毎に音が鳴っていたので、恐らく何十年の範囲内には次の音が鳴るだろうと予測し、ピンが接触してコームが撓む事で及ぼす影響を想像して予測に役立てようと試みている段階に過ぎない。現在の地球人類の科学力では地震予知は出来ないと思う。

では、火山の噴火予知はどうだろうか?山体各部に、精密地震計や傾斜計や重力計測計を取付てマグマ上昇で火山が震動し重みで変形する事を捉えて火山噴火予知をしようとしている。3.11後の3月15日には静岡県富士宮市周辺をを震源とする震度6強の地震が発生した。その際には、富士山の観測網の多くの重力変動と山体変形を捉えていてマグマ溜まりへ多くのマグマが充填された事を示している。

地震が噴火を誘発するメカニズムには、火山学者に依り様々なケースが想定されている。
  1. 地震による圧縮ひずみが増大しマグマが絞り出される
  2. 差応力が増加してマグマの貫入を誘発する
  3. 地震動によってマグマだまりが揺さぶられマグマが一斉に発泡し,爆発的噴火をする
  4. 周囲の岩盤の応力変化によってマグマだまりの圧力が減少し、マグマが発泡して軽くなり上昇を開始する

別ブログ過去記事「東海・東南海・南海のトリプルコンボ? 2011-03-16 20:18:32 | 独り言

3月15日のケースは恐らくメカニズム4.だと予測されている。
だが、その後マグマ溜まりの圧力は減じて山体の変形は戻っていった。我が国最高水準の観測網を整備した富士山ですら、この程度の知見である。


尚、100年に1%程度、1万年に1度クラスの噴火・・・カルデラ噴火が発生すると仮定すると現在の科学水準の火山観測網では全く役に立たないのだ。

地下8Km以深を観測できる技術は現在の人類科学は持ち合わせていない。地下8Km以深の構造は想像するしかない。そして地下8Kmより深い地下からマグマが急激に地下4Km程度に存在するマグマ溜まりに高速で登ってきて圧力が減じた事でマグマが発泡して爆発的に体積が増し火道を駆け上るのには1〜2日の余裕も無いカモ知れないのだ。マグマ溜まりにあるマグマが噴火に至るのは時間が掛かるのだがカルデラ噴火は待ったなしだ。

現在の監視網でもマグマ溜まりへ地殻の割れ目から大量のマグマが貫入した地震動を観測する事は出来るだろうが、それがカルデラ噴火の前兆か否かの知見は乏しい中で、多くの影響圏内の住民の避難開始が可能な数時間内に破局噴火に至るか否かの判断が迫られる訳だ。

火山学の進歩が将来の火山噴火予知を実現するだろう事は間違い無いが、今日の科学レベルではカルデラ噴火のメカニズム理解も予測予知も少し遠い。

我が国で最も新しいカルデラ噴火は、約7000年前の鹿児島県薩摩半島の南方約30kmの海底に存在する鬼界カルデラで発生している。南九州の大部分が赤橙色を帯びた“アカホヤ”と呼ばれる薄い火山噴出物で覆われているが、このカルデラ噴火に因って当時の九州南半分で花開いていた縄文文化の全集落が壊滅したとされている。この鬼界カルデラの噴火に因って近畿地方でも厚さ20cm、関東地方でも厚さ10cmに及ぶ火山灰が堆積している。もし、この規模の破局噴火が発生すれば最悪の場合、周囲数百Kmの範囲で壊滅的被害を受ける為に避難すら行えない可能性も在るのだ。こうしたカルデラ噴火を起こす可能性がある火山は九州と北海道に存在していて影響は日本の大部分に及ぶのカモ知れない。破局噴火には有効な避難場所は存在しないカモ知れないのだ。

阪神淡路大震災の際も2カ月前の94年11月兵庫県東部の猪名川町付近で群発地震が発生した。この多田盆地で発生した群発地震が前震であったと今なら判明している。東日本大震災でも3月9日のMw7.3の地震が前震であったとする説が有力だ。だが、我々の科学力では本震以前に充分な警告を発する事には至っていない。

この事は火山の噴火予知にも云える事では無いかと思う。今すぐ役立つ訳では無くても科学的知見を集積していく努力を継続するしかないのだろう。

余談だが、川内原発再稼働騒動では反対派は、姶良(あいら)カルデラ噴火の危惧を挙げている。1万年に1度クラスの破局噴火が原因の原発事故を危険視するのは正直ナンセンスだ。川内原発再稼働反対派は大き過ぎる危惧を持ち出したが故に、事実上の安全宣言に荷担している事には成らないだろうか?




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