2014年11月20日木曜日

脳の性差?

以前、「話を聞かない男、地図が読めない女」が流行った頃に読んだのだが、今度は「察しない男 説明しない女」がジリジリと売れているらしい。
男性脳・女性脳と云う俗語が実際に有るのか無いのかは良く判らないが、女性的な脳とは脳梁が発達した大脳の事だ・・・と聞いた事が在る。
脳梁とは、左右の大脳半球の間で情報をやり取りする約2億~3億5000万の神経線維からなるホットラインの事だ。脊椎(脊索)の神経繊維が2〜300万本だと云われているので、脳梁の情報帯域の巨大さは想像に容易いだろう。
ヒトの脳は、パソコンのデュアルコアCPUと同じく1つのパッケージの中に2つのプロセッサコアが集積された構造になっていて、その左右半球のプロセッサコア同士を直接連結しているバス配線が脳梁である。てんかんには脳梁を通って信号が激しく行き来する病型がある。このような症例に対して、脳梁の一部を切断する脳梁離断術が施されていた。先天的な脳梁欠損症の大部分は発達障害を伴うが、後天的な脳梁離断術を施された場合は分離脳として認知神経科学・神経心理学上の研究がなされ大きな発見がされた。

女性は、男性より大脳容積が小さいにも拘わらず、女性も男性と同規模の脳梁を持つ事から(相対的に)脳梁が発達しているとされ、脳梁が太い事が女性的な脳だとする俗説が横行しているのだが、統計的に立証された訳ではないらしい。TV番組で、性同一性障害の方の大脳のMRI画像を数例放映されていたケド、立派な男性の脳だった。(性同一性障害には思うところ大なので、近い将来ブログネタに使おうと思っている)因みに、現時点では脳梁の性差は科学的に立証された訳では無いのだけれど、言語野は男性は片側性(右利きの人の場合の約9割が左脳が優位脳として言語中枢が存在している)だが、女性の多くは両側性(左右の両半球に言語中枢が存在する)だと判明していると云った風に、男女の神経心理学的な性差は立証されている。(もし、性同一性障害の方が女性型の言語中枢を持っているのだと判れば、神経心理学的見地から心と身体の性が異なっているとも云えようが、どうもそうでは無いらしい。)

兎に角、男性の場合は左半球しか喋らないが、女性は左右の両半球が喋るので、男性は女性に言語能力では到底敵わない事になる。もしも、言語能力に於いて男性が女性に勝てるのなら、デュアルコアCPUよりもシングルコアCPUの方が性能が良いと云う事になってしまうだろう。

だが、男女の大脳に於ける新皮質の割合を比べて、男性の脳はバージョンが新しく女性の脳はバージョンが古い・・・ので、男性の脳の方が優れていると主張する人も居る。ノーベル賞受賞者、三つ星を冠するシェフ、フィールズ賞アーベル賞等々メンタル面でも、陸上競技等フィジカル面でも男性が優位である事から、男性の方が優れているのだと主張する人も居る。

男性には男性の良さ・悪さがあり、女性には女性の良さ・悪さがある。男性には男性の生理的宿命・生理的必然があり、女性には女性の生理的宿命・生理的必然がある訳だ。その上で、ジェンダー論なり男女共同参画論を語れば良いのに、男も女も含め我々人類は未だ未だ青いと云う事だろうか?

話を聞かない男、地図が読めない女」のブーム後から雨後の筍の様に次々と発売された男女の性差を脳科学で論証する本には科学的根拠が一切無く「男女あるある」に終始すると思っている。大脳の大きさが脳スペックとは無縁だと判明しているが、大脳の新皮質割合が高い脳がスペックが高いのか否かも実は解っていない。何故なら、マシンのベンチマークテストの様な方法で、脳の能力を客観的に比較する事が出来ない事と、潜在的能力を100%活用した男女の脳モデルが存在しない事だ。

メンタル面でも、フィジカル面でも、女性の上位1‰(パーミル)に敵う男性は、男性上位の1‰に過ぎない。その他大勢である私の様な存在は、そう云った輝ける人類の頂点を産み出す為の培地に過ぎないのだが、その培地風情が男性上位1‰の優秀さを誇って嵩に懸けるのは烏滸がましい次第である。

所詮、普及品クラス旧モデルのデュアルコアCPU Vs. 普及品クラス新モデルのシングルコアCPU のベンチマークである。性能差は誤差の範囲だと思っている。女性用OS(Operating System)で作動させていると神経心理学的に女性的な脳の使い方になっていくのカモ知れないが、こう云った研究に参加された性同一性障害の方では女性的な脳の使い方になっていらっしゃった方は居なかった様だ。(ソースを再発見できないのが恐縮だが)インターセクシャルの方で遺伝子型はXYなのに神経心理学的に女性的な脳の使い方をなさっている方、遺伝子型はXXなのに神経心理学的に男性的な脳の使い方をなさっている方は少なからず居られたそうなので、アンドロゲン・シャワー(胎生期、妊娠6週目から24週目にかけて大量のテストステロンが分泌される時期があり、これに曝されること :ja.wikipedia.org/wiki/テストステロン)に依って女性型脳が後天的に男性型脳へ変化する事は明らかなのだろう。男性型脳で女性用OSを走らせる事が可能なのか否かは判っていない・・・と云う以前に、個体差は見出されてもヒトの脳のOSに性差が有るのか無いのかすら解っていない。

もしも、偽女性化ウイルスに侵された男性型脳の妄想に依って、性自認の違和感を感じ生物学的性別を変更したいと思ってしまうのがGIDなのなら、ホルモン療法や性別適合手術に選択する前に、偽女性化ウイルスを除去・無効化する為に医学を活用し苦しみから救って差し上げるべきでは無いかと思っている。

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