2015年2月6日金曜日

重力波の痕跡

東京新聞:「重力波の痕跡」は誤り 銀河のちり影響 米の研究を否定:社会(TOKYO Web):



アインシュタインの一般相対性理論の中で発表された「重力レンズ効果」は、「光は重力にひきつけられて曲がるわけではなく、重い物体によって歪められた時空を進むために曲がる」のだが、その重い物体が高速度で移動する事で、その歪められた時空が波として伝搬していく事を重力波と呼ばれている。

重力波が存在する証拠として、連星パルサーの軌道周期が徐々に短くなっていることから、重力波としてエネルギーが外に持ち出されているからだとし、その周期減少率が一般相対性理論の予言値に誤差範囲内で一致したから、間接的な証明として学会で支持され、1993年にジョゼフ・テイラーとラッセル・ハルスはノーベル物理学賞を受賞している。

但し、球対称や円筒対称では、相互に打ち消されてしまうので、非球対称な超新星爆発(銀河系内で100年に1度レベル)か、中性子星等の非常に重い星の非球対称振動や、インフレーション宇宙モデルに於ける初期宇宙形成時の痕跡等々が今日レベルの観測装置で観測可能な事象とされているが、超重量天体同士の連星系・・・に限らず、我々の太陽系内の惑星からも、放出されている筈・・・ではある。

昨年3月ハーバード大学やカリフォルニア. 工科大学などが中心となるBICEP2グループが、南極点から約800m離れた観測施設で、宇宙マイクロ波背景放射として知られる天球上の全方向からほぼ等方的に観測されるマイクロ波の偏波面(電波の振動方向の偏り具合)を精密に観測する事で、原始宇宙誕生時の原始重力波の影響を受けたと予想される偏波面の偏りが発見されたと発表されていた。(尚、施設は感度を6倍に上昇させた観測装置への入替の為にリニューアル中であった。更に、今後は観測精度を向上させる計画が長期間計画されている)

引用記事にあった通り、偏波面の偏りとして得られた特殊なパターンが、銀河のちりの影響である事が間違いないと結論がでた。原始重力波に依って宇宙マイクロ波背景放射の偏波がなされた証拠は見つかっていなかったと云う事。

だが、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の例で分かる通り、多くのスポンサーと巨額の資金を得て動き始めた超巨大プロジェクトには、慣性の法則が働き、もはや止める事ができないのだ。

因みに我が国でも、岐阜県の神岡鉱山に世界初の大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」が完成を目指している。完成すれば世界最高精度のレーザー干渉計となるが、実用レベルとする為に10倍に感度を上昇させる為に施設改修を繰り返していく事になっている。

・・・

勿論、私の如き素人が重力波の存在を争う気は無いのだが、そもそも一般相対性理論の予言値だけ重力波が放射されている事を疑わないままで大型重力波望遠鏡の検出精度を各国で競い合う巨大ハードウエア競争に明け暮れるのは、重力波村を形成しようと目論んでいると云う暴挙とも思えてしまう。

1993年ノーベル物理学賞に至った観測値が正しくとも、連星パルサーの準ケプラー運動のエネルギーを外部に放出し続けているとされる重力波は、我々に観測できる次元の時空の歪みだけでは無いと云う可能性を何故疑わないのだろうか?

ここをワザと見落とした事にして年々歳々施設拡充を続けていく大型ハドロン衝突型加速器と同じ事を、理論物理学進歩の方便に使っているのでは無いか?と思ってしまった。

勿論、超高精度な大型レーザー干渉計施設が発見する可能性が高い事象は重力波以外にもあるので、大型ハドロン衝突型加速器同様に全人類へ徒なす浪費と糾弾するツモリは無いが、今日レベルの精度では歴史的大発見には至らず大型ハドロン衝突型加速器同様に、大発見への予告編を毎年更新していくだけとなるだろう。

もしも、今日レベルの科学力で原始重力波の検出を目論むのなら1辺1Kmとか3Kmとかのミクロな物差しで測るのではなく、人工衛星レベルで1辺数百万Kmクラスのレーザー干渉計を使うべきだし、マジで近傍連星からの重力波を検出するツモリなら地球の公転軌道への複数の人工惑星を投入するレベルでの観測体制が必要な筈だ。


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