2015年6月5日金曜日

銀河宇宙線

一昨日のネタで、「太陽活動の低迷 = 銀河宇宙線到来機会の増大」の説明が抜けていたので・・・、この強引さに御質問を頂戴した。(誠に申し訳ない事に、別ブログでは何度か使ったネタなので私の中では「太陽活動の低迷 = 銀河宇宙線到来機会の増大」は既に周知事項扱いだったので説明をし忘れてしまった事をお詫びしたい)

太陽系は時速86万4千キロで移動している
太陽風と太陽磁場からなる太陽圏が銀河宇宙線を大部分遮蔽している

宇宙線とは、宇宙を起源とするエネルギーの高い放射線のことで、全体の約2%が電子で約98%が原子核でが、原子核の約80%が陽子(水素原子核)である。勿論、太陽風も宇宙線であり、太陽のコロナ質量放出(CME)の際には国際宇宙ステーションでも防護措置を採るのだが、銀河宇宙線と太陽風の大きな違いは粒子の速度だ。太陽風は秒速300Kmから800Km(ごく稀に1000Km/sを超える事も)だが、銀河宇宙線の粒子速度は亜光速だと云われている。







速度の遅い太陽風(太陽宇宙線)は地球磁気圏に依って守られているので大気圏内では問題となるレベル以下になっている。福島第一原子力発電所事故以降に、被曝量の目安として民間ジェット旅客機によるアメリカ往復と云う「物差し」が一般的になったが、その際に被曝する放射線の大部分が銀河宇宙線(及び、カスケード反応で二次的に発生する放射線)なのだ。太陽粒子は速度が遅い為に、民間ジェット旅客機が飛行する高度(9~12km)では殆ど無視出来るレベルまで減衰するのだが、銀河宇宙線は地球磁気圏では弾かれなかった質量・速度の放射線が大気圏に突入してくる。以前より高高度飛ぶ民間ジェット旅客機の当に高度まで銀河宇宙線が到来している。(勿論、極々僅かだが、そのまま大気圏を突き抜けて地上に住む我々を貫く銀河宇宙線も存在するだろう)前述した通り、宇宙線の約80%は陽子(水素原子核)なのだが、亜光速の陽子に貫かれたら人間の細胞は不可逆な障害を負ってしまうだろう。国際宇宙ステーションの高度では太陽宇宙線の影響は少ないモノの、大気圏で減速されずに銀河宇宙線が飛び込んでくるので被曝量は甚大なのだ。


で、一昨日のネタで、この銀河宇宙線、及び、二次的に発生する放射線が、恰も霧箱の中の放射線軌跡の様に、気体分子のイオン化が起こり、そのイオンを凝結核として全地球で降水量が増える傾向が増すと知られていたのだが、マグマに於いても恰も霧箱の中の様な何らかの相互作用があり 突沸 (→ 静かに熱せられて沸点以上の過熱状態になっている液体が突発的に激しい沸騰を起す現象。突沸のきっかけは外からの異物の混入または衝撃により器壁の小気泡などが核となって液体内部に気泡を生じるためと考えられる。)が起きて火山噴火が増える傾向となるのでは無いかと仮説が立っている。

たった300年程度の太陽活動の動向と環太平洋火山帯の噴火動向だけで、「太陽活動の低迷 = 銀河宇宙線到来機会の増大 = デイサイト質マグマ火山の爆発的噴火機会の増大」が立証されるとは思ってはいないが、100年ぶりに日本周辺の火山活動が低迷期を抜けたとする明確な理由(世の中では、東日本大震災こそが火山活動活発化の元凶とする意見が多いので)、天邪鬼の私としては、ナンとしても別の回答を持って来たかったと云うのが最大の理由だろう。


0 件のコメント:

コメントを投稿