2015年8月31日月曜日

ヘリコバクター・ハイルマニ

大切な友人が闘っている病なのでブログネタにするのは些か心苦しいのだが、正真正銘自分自身の問題なので・・・

胃潰瘍、胃癌の発症の多くにピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ : Helicobacter pylori)感染が関与している事が明らかにされた一方で、ピロリ菌陰性であっても胃疾患を発症する患者はいまだ少なくない。

かく言う私自身もその1人だ。数年前から逆流性食道炎と胃の不調を感じていているのだが、ピロリ菌陰性だ。そして、一昨年の健康診断からは胃部の多発性ポリープを指摘されている。

ナンでも・・・、胃炎を訴えるピロリ菌陰性の患者の半数で、ピロリ菌ではないヘリコバクター属のヘリコバクター・ハイルマニと云う菌に感染していると云う事実が明らかになったと日本ヘリコバクター学会で発表された。
ハイルマニ菌の発見は、1983年の西オーストラリア大学のロビン・ウォレンとバリー・マーシャル(後に、2人ともノーベル医学賞受賞)によるピロリ菌の胃疾患病原性の再発見に対する検証実験の過程で、ドイツ人のハイルマンにより上部消化管症状を持つ患者に内視鏡検査を実施したところ、0.25%の患者の胃粘膜組織中に「ピロリ菌ではない螺旋菌」が存在することが報告された。因みに、ハイルマニ菌と同様にピロリ菌以外でヒトの胃に感染するヘリコバクター属細菌は概ね7種類報告されている。他のヘリコバクター属にも病原性の疑いは有ったが、病原性が明らかになったのはピロリ菌に続いて今回のハイルマニ菌となったらしい。

ピロリ菌と比較してハイルマニ菌の特徴は、その大きさがピロリ菌(数㎛)の数倍〜10倍である20㎛と大きい事、ウレアーゼ活性を持たない事、ピロリ菌は粘液層に居るのに対しハイルマニ菌は胃腺腔深部や壁細胞内にも存在する事、移動速度が速い事、イヌやネコ等のペットにも感染し増殖する人獣共通感染症である事、培養条件が未発見な為に大量培養が出来ない事、萎縮性胃炎を起こすピロリ菌と異なり炎症を起こさない事、(胃悪性リンパ腫の前駆病変として知られる)濾胞性胃炎の原因らしい事である。尚、ピロリ菌同様にMALTリンパ腫の原因では有るのだそうだ。

但し、ハイルマニ菌は確定診断法が確立していない(検査方法が無い)為に、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応に依るDNA増殖法)でしか感染を確認出来ていないので、日本人の感染率のデータは存在しないが、統計学的手法に依ると日本人の1%程度ではないかと推測されているが、MALTリンパ腫患者に限れば60%の感染が報告されているのだそうだ。

消防車が現場に居るから火事の原因は消防車だと断定されてしまい兼ねない病理研究だが、ピロリ菌陰性の慢性胃炎患者や鳥肌胃炎やMALTリンパ腫発症に於けるハイルマニ菌感染の因果関係は充分に有意だと判明しているのだそうだ。

だが、胃の不調を訴えて病院を受診してもなかなか胃内壁には炎症や胃潰瘍症状を呈さないので、腫瘍マーカーも低いままだし、医学的対処を特に行わない鳥肌胃炎程度なので胃カメラ検査でも見落とされてしまうのだそうだ。(又、鳥肌胃炎は、胃疾患を訴える子供や若い女性でも発見されていて予後が良好なのでハッピーポリープと呼ばれるのだそうだ。だが・・・、若年期にはハッピーポリープでも壮年期以降はハッピーではないらしい)

尚、昨年の健康診断で鳥肌胃炎を指摘されてから・・・周章ててガン保険増強しようとしたのだが、胃癌ハイリスクと見做され胃部免責3年間を提案されて躊躇している内に早2年目を迎えてしまった。1年経って消えていれば良いのにと思ったが、世の中、そんなに甘くない。胃部免責3年間でもガン保険を増強するか、運を天に任せるか・・・、私自身は未だ未だ子供だと思っていたのに、こんな悩みを持つ歳になったのだなぁ〜。