2014年3月13日木曜日

地震予知より、生かせ命!





引用動画は、3.11東日本大震災の際に、国土地理院が管轄する全国125カ所のGPS観測点で記録された約10分間の地盤の動きを1秒毎に分析し、地盤の動きを動画として再現したモノである。



この巨大地震では、宮城県の牡鹿半島の地盤がおよそ1メートル20センチ沈下したうえに東へ5メートル30センチ移動するなど、東北と関東などの広い範囲で大規模な地殻変動が起きたことが、GPSによる観測から明らかになっている。





3.11東日本大震災は、日本海溝に起因する海溝型地震である。下図で赤線で示した通り、東日本沖の太平洋海底に海岸線に平行に沿った海溝であり、日本の東日本が載る北米プレートの下に位置するユーラシア大陸の載る巨大なプレートの更に下へ、太平洋プレートが潜り込もうとしている場所なのだ。この日本海溝は、北側では襟裳岬沖で大きく東に曲がって千島海溝へと続き、南側では房総半島行きで僅かに東に曲がり伊豆・小笠原海溝へと続いている。その為に、日本海溝の最深部は8,020mと非常に深い。









高度成長期から、巨大地震への備えや基礎研究は、東海・東南海地震に集中してきたが、結果として3.11東日本大震災が起きた後となって見れば、この震源域は300年間の空白エリアであった事は明らかだ。








恐らく地震学者の誰もが、この300年間以上の空白エリアを認識した上で、いつ発生するか判らないからと取り立てて警鐘を鳴らしては来なかったのだろう。300年分の蓄積が引き起こした被害は甚大であった。



そして・・・、空白域の画像と、3.11東日本大震災の震源域の画像と、冒初の動画を見て素人でも気が付いてしまう事は・・・同じ日本海溝に面した陸側地盤で歪みを解放し切れていないと見える地域が残っている事だ。それは「房総沖」と呼ばれる千葉県東岸沖である。

その空白の震源域は、1703年の元禄関東地震の震源域だとされている。



そこは・・・西日本が載るユーラシアプレートに潜り込もうとしているフィリピン海プレートに存在した巨大な海底火山が、フォッサマグナ(北米プレートユーラシアプレートの境界)に突っ込んでいる為にフィリピン海プレート北側はスムーズに潜り込むことが出来ずにいる更に下に、太平洋プレートが潜り込んでいると云う複雑な構造をしている。因みに、フォッサマグナに突っ込んで引っ掛かっているいる元々の海底火山とは、世界遺産にも登録された霊峰富士山である。




房総沖に歪みが蓄積され続けていると云われている。





西日本では「南海地震・東南海・東海地震の3連続」の警戒を促され、関東では「房総沖」の警戒を促され、深海魚やダイオウイカが揚がる日本海でも地震の前兆かと騒がれている。




3・11東日本大震災の直前と同じ異変が 東大名誉教授・村井俊治が警告する 「南海トラフ巨大地震来年3月までに来る」




だが、人々や社会の営みは、地球の悠久の時の流れから見れば瞬きにも満たない一瞬の刹那に過ぎない。1年以内に・・・、3年以内に・・・、と云う人の一生という一瞬の内の、更に短く限定された期間で今か今かと備えて待っている間に、大地震が発生する訳では無いと思う。地震発生のメカニズムは、過去拙ブログでも何度か紹介してきた通り、恰もオルゴールの「ドラムから出っ張った突起物」が「櫛歯」を奏でて音を立てる如く、地中深くでプレート同士の突起物同士が絡み合って地震を引き起こしている事は判明しているのだが、現在の人類の科学力ではオルゴールのピンを確認する事は出来ていない。ブラックボックスの中身は見えないままで、それ以外の兆候から次の地震の発生確率を割り出そうとしている訳だ。どのデータを見ても、次に地震が起きるのは間違い無いと云えるだろうが、それが1年後なのか2年後なのか3年後なのか・・・10年後なのか20年後なのか30年後なのかは断言できないのが今日の科学としての地震予知の姿である。定期的に発生するとされている大きな地震の甚大な被害が予想される被災想定範囲内に住んで、人の一生の何分の1かの期間を地震に怯えて暮らすのも如何なモノだろうか?それぞれに可能な範囲内で、想定される被害を最小限に食い止める永続的な方法(例えば、被災後の高台移転を都市計画に組み込んでおくとか?)を試みる良い潮時なのカモ知れない。





地震を初めとする大自然の猛威の前には、我々人類は卑小な存在である。我々の誇る科学力を以てしても地震を止める事は敵わず地震発生の日時を予測する事も適わない。想定される被害を無効化する巨大な人工構築物で、人々を救おうと云う往年の特撮映画染みた試みに血道を挙げるよりも、想定される被災地域外への移転をも長期的視野に入れて、我々一般人も自らの命を守る為の最も経済的な方法を考えるべきなのカモ知れない。東北では生かされなかった過去の津波の記憶だが、地震国である我が国には至る処に存在している。僅か100年前、僅か300年前と云った極々普通に起き得る大自然の脅威の記憶も風化してしまったのだろう。南海・東南海・東海と連動する巨大地震でも、房総半島沖巨大地震でも、人々はノーマークで脅威すら感じていない(凡そ400年周期だと云われている)日本海地震(旧・大西洋中央海嶺地震)でも、再び我々日本人は同じ過ちを繰り返してしまうのだろうか?





南海地震では高知県内で30m超の津波が想定された地域があり、天橋立を見下ろす籠神社奥宮「真名井神社」の海抜40m地点には701年5月8日大宝地震での津波が到達した記録が残っている。日本国内大部分の場所が地震で被害を受ける可能性があり、日本国内大部分の海岸近くでは津波被害が予想されている。そして、日本全国津々浦々には、津波の記憶が散在していて、祖先が未来の我々に警告を発しているのだ。その警告を無視して沿岸部に住むのなら、それ相応の心構えが必要だろう。






我々1人1人レベルから日常的に防災減災に取り組んでおけば、命だけは長らえさせ得るカモ知れない。防災用品を買いまくるより、激甚な地震から命だけは守る工夫(家具の固定や耐震補強と云った自宅の安全性向上や、居合わせた「その場所」で命を守る工夫)と共に、安全な場所を速やかに察知し全力で逃げる事を習慣として継続的に続けていく事が大切なのだろう。






防災の準備と云えば、家族分の水や食料や衣類を買い貯めする事だと思いがちだが、それらが必要になるのは生き残っていた場合に限られる。その為には、家具の固定や、家具の置き方(万が一に倒れても家族に怪我をさせない向きに置き換える)や、住宅の耐震補強の方が大切なのだ。だが、どんなに安心な自宅を構築しても、大地震に遭遇するのが自宅に居る時とは限らない。職場や学校、通勤通学の途上や買い物中かも知れない。地震に遭遇した時に、咄嗟に命を守る行動が十全に出来る可能性は低いので、日頃から様々なケースを想定して考えておくべきだろう。その上で、自宅にいる時限定の非常持ち出し袋の整備をするのも良いだろう。





兎に角、天災は忘れた頃にやってくる・・・のだから。


0 件のコメント:

コメントを投稿