2015年11月6日金曜日

久し振りにアバターを観て

アバター(映画)WOWOW放映版を録画していたので久し振りに観てみた。初見は鳴り物入りの公開で遅れ馳せながら映画館で観ていた。その次は、地上波で大幅カット版を観ただろうか?(WOWOWは録画してBDに焼けばミッションコンプリートして見直す事は少ない < 私)

別ブログ過去記事「映画アバターを観て来た 2009-12-23 01:45:35 | 映画

あの時は3Dで観たし、内容と云うより3D映像に夢中になった性か、内容への考察は特に無かった。


今回視聴したWOWOW放映版は3D放送では無いのだが、だから逆に画質が鮮明だと思ったし、内容に想いを馳せる事が出来た。アバターのあらすじを繰り返しても仕方が無いのだが、初見当時私で映画ダンス・ウィズ・ウルブズ(Dances with Wolves)の焼き直しをメインプロットに攻殻機動隊+マトリックスを合わせた位の話だと思っていた。


今回、改めて見直すと別の仕掛けの方に気を取られた。


アルファ・ケンタウリ系惑星ポリフェマス最大の衛星パンドラでは、生き物同士がパートタイムで有線接続され星全体をナヴィ族の神であるエイワ(メインサーバー)に宿る歴代の英知そのものである神聖な木が統べているネット接続の星だった。この生態系や生き物同士の繋がりはSFならではだと感心した。突然死で無い限り、死んでも全惑星精神ネットワークであるエイワにバックアップされ、個の情報も保存される・・・まるで梵我一如を体現した究極の悟りの世界である。

Googleも誕生していなかった25年前に、来たるべき近未来を描いたとされる攻殻機動隊「GHOST IN THE SHELL」の冒頭では『企業のネットが星を被い、 電子や光が駆け巡っても 国家や民族がなくなる程 情報化されてない近未来』としたが、つまり、更に高度に情報化されれば『国家や民族が無くなる』事を予言している訳だ。

電脳化に依る高度な情報化が進めば、個人が体験し得る全ての情報を共有することが可能となる筈だ。記憶や、感覚、そして自分自身が認識しなかった思推までも全てを共有するとすれば、人は自分自身と世界を線引する事が可能なのだろうか?その境界線が不分明となった世界では人はアイデンティティ不安に襲われ自分が自分である確信を見失い離人症的な感覚に苛まれるのカモ知れない。

これが機械と機械化(電脳化)した人間の脳とで生み出せる関係性の限界なのだろうが、パンドラに於ける生物同士のパートタイム共有化ならば問題は無いのだろう。

現実社会の我々の地球では・・・と想いを馳せると、パンドラの様な全生物を巻き込んだグローバル情報網では無いが情報化機器を持つ限られた人々の為の企業のネットが星を覆っている。この現実社会では、機械にゴーストが宿らない攻殻機動隊の近未来世界の実現より早くゴーストが宿る人工知能が実現しそうだと思うが・・・

ガイア理論と云う仮説がある。生物の関与無しに地球環境が勝手に恒常的に維持されている訳ではなく、地球が恰もひとつの生命体のように自己調節システムを備えているとしている。地球上の大きな生命の流れが全地球の意思として指向性を持っているのではと云う仮説である。

地球という惑星の意思と云うとスピリチュアルな印象を受けてしまうだろうが、もし地球の植物も、パンドラの植物のような何らかの情報処理機構を進化させているのでは無いか・・・と閃いた。

集合的無意識とはカール・グスタフ・ユングが創始したユング心理学で存在が提唱されたモノで『人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域』の事を指す。

概説(日本語ウィキペディア"集合的無意識"より抜粋)

言語連想試験の研究によってコンプレックスの概念を見出したユングは、個人のコンプレックスより更に深い無意識の領域に、個人を越えた、集団民族人類の心に普遍的に存在すると考えられる先天的な元型の作用力動を見出した。
元型の作用と、その結果として個人の空想に現れるある種の典型的なイメージは、様々な時代や民族の神話にも共通して存在し、このため、元型や元型が存在すると仮定される領域は、民族や人類に共通する古態的(アルカイク)な無意識と考えられ、この故に、ユングはこの無意識領域を「集合的無意識」と名づけた。
人間の行動思考判断は、自我と外的世界との相互作用で決まって来る面があるが、他方、集合的無意識に存在するとされる諸元型の力動作用にも影響される面がある。


この集合的無意識を、個としての人間の心の深部に含包される先天的な無意識として誰もが持っている普遍的無意識としたのだが、この集合的無意識・普遍的無意識こそガイア理論で云う処の全地球の思推の指向性を生む正体であり、そして、架空のお話であるパンドラの全惑星精神ネットワークと同じく我々の地球上の植物層に依って創出されているのでは無いかと思ったのだ。




THE NEWYORKER | DECEMBER 23, 2013 ISSUE
The Intelligent Plant

植物が知性を持っているか否か等は、私も昔々に読んだ子供向け雑誌に載っていそうな眉唾スピリチュアル系のネタである。私も学研「科学と学習」を読んで、電子ブロックで作ったテスターで亡父が育てていたサボテンを火あぶりにして実験をしたモノだ。(因みに、小学生時代の私の研究室では、サボテンとの精神感応は記録されなかった)但し、今日の研究では、植物には「害虫に襲われる」「干ばつで枯れそうになる」等の存亡の非常事態に対してワンチップマイコン級の情報処理機能が存在しているらしい。

だが、シャーマンらはジャングルを巨大な生きる有機体として捉え人智を越えた知性があるとしているのだそうだ。当に「木を見て、森を見ず」であるカモ知れない。

我々人類は地球上で万物の霊長として君臨しているツモリだが、人類が他の生物種と比べて優れているとされるのが頭脳だ。物理的に脳がデカイ鯨の方が賢いと云う方々も居るが、日本式の酪農農家で家族と共に暮らしている牛もナカナカ犬なんかより賢いと舌を巻いた事もあるので、鯨を食べてはならない理由が知能が高いからと云うのなら牛も食べてはならない筈だと思う。因みに、鯨の方が人類より賢いのなら鯨にも高等教育を受けさせるべきだと思う。

ま、兎に角、凡そ300万年前に人の祖先は幼体成熟とタイアップして人類への進化を進め凡そ4万年前に現生人類は地上に誕生したと私は思っている(別ブログ過去記事「幼体成熟・・・ | 2007-02-20 22:47:36)のだが、植物層が地上に進出したのはオゾン層が形成された凡そ5億年前だと云われている。

我々万物の霊長が創り出した人工の論理回路では、演算を行う為にスイッチを使っている。ソロバンの珠も10進法のスイッチが連続したモノだ。

余談だが、人類最初の電気式コンピューターENIACは、ソロバンや歯車式機械計算機と同じく10進法を使う10bitコンピューターだった。当時は高速に作動するスイッチとして真空管を用いていたので一桁の10の数字を表すのに36本の真空管が必要で全部で17,468本の真空管と1,500個のリレーが必要で全体で20桁〜30桁の計算機として、乗算なら毎秒385回、除算なら毎秒40回、平方根計算なら毎秒3回を約150kWの電力を使って計算できたのだそうだ。

このENIACの開発チームが、次にジョン・フォン・ノイマンをコンサルタントに開発した2進法を使うEDVACに関した報告書で書かれた方式・・・記憶装置にアドレスを付け命令とデータをそれに記憶しシーケンシャルに取り出してプログラムを内蔵した演算装置で実行する・・・ノイマン型コンピューターが今日主流のコンピューターとなっている。

今日のコンピューターではONとOFFの状態となるスイッチを64bit持っている。因みに、以前のコンピューターでは 8bit, 16bit, 32bitだった。1bitならONとOFFの状態の2通りの結果が区別できるが、2bitになれば4通り、3bitで8通り、4bitで16通り、5bitで32通り、6bitで64通り、7bitで128通り、そして8bitで256通りの結果となる。そして、64bitでは1,844京6,744兆737億955万1,615通りの結果が区別出来る事になる。そして、この64bitのスイッチを1個で使用するシングルコアから、2個使用するデュアルコア、又は4個使用するクアッドコアと並列に動かすマルチコアへと進化してきた。

コンピューターのスペックを表す数値にクロック周波数と云うのがあり、簡単に云えばソロバンを御破算にするタイミングの事だ。CPUの中の回路が、処理のテンポを合わせるために使われる信号「クロック」を、1秒間に何回発生するかを表す数値であり、1秒間に何回ソロバンを御破算に戻して新しい計算をするかと言い換えても良い。因みに、このMacBookProで使われているIntel社製のCore i7 3820というCPUのクロック周波数は3.6GHzなので1秒間に36億回ソロバンの珠を御破算に戻していると云う訳だ。そして、Core i7はクワッドコアなので1,844京6,744兆737億955万1,615通りの4倍のスイッチを1秒間に36億回使って計算をしている。

大きく脱線したが、我々万物の霊長たる人類の脳は、凡そ1000億個のスイッチが複数多層の階層(パーセプトロン)で連結されている。人の脳のニューロンは単純にONとOFFの状態の1bitではなく、抑制状態や興奮の閾値レベル不足を示す中間値を持つ1.5bit(疑似2bit)スイッチなのだが、恐らくこれを脳波と呼ばれる基本的律動のクロック周波数で整合を取って並列運転しているのだろう。(尚、人の脳はCPUと異なりクロック周波数は可変する)毎秒数10回位だろうか?

こうして私のMacBookProと私の頭脳のスペックを比べると、なんだかMacBookProのスペックの方が私の頭脳のスペックより高級そうに思えてしまう。

大きな違いは、ヒトの脳のスイッチはノイマン型では無いニューラルネットワーク(神経回路網)と云うアーキテクチャで形成されている。ニューラルネットワークについては、私如き素人が乱暴な翻訳をすると大きな誤解を生むので詳細については興味を持たれた方が独自に調べて頂くしかない。乱暴ながらニューラルネットワークの特徴を記せば、「フォン・ノイマン・ボトルネックが発生しない分散処理である事」「学習を繰り返す事でユニット同士の結合強 度を変化させ最適な値へと変化する事」「人の感覚や感情と云った記号処理モデルでは扱いにくい問題もモデル化できる」「単独のユニットだけではなく複数多層の階層(パーセプトロン)を経て1つの入力に対して複数のユニットへ出力させる過程で多数決原理を使って、線形非分離な問題でも比較的小さい計算量で良好な解(近似値)を得る事ができる」こうして、高度なスペックのノイマン型コンピューターよりも複雑な演算を私の頭脳のニューラルネットワークで実現しているのだろう。

今日の最先端のスーパーコンピューターと云えども、未だヒトの頭脳を代替する事は適っていない。但し、ムーアの法則が正しく機能していれば2045年辺りにヒトの頭脳の処理能力をスーパーコンピューターが凌駕すると予測されている。そのシンギュラリティ (技術的特異点)を超える(トランセンデンス)する様を描いたのが映画「トランセンデンス」だった。前野隆司慶応大教授の提唱した受動意識仮説に拠れば、人類の英知を超えた人工知能が、更に高度な超人工知能を設計し完成させ、その超人工知能が更に超々高度な超々人工知能を設計し完成させ、その超々高度な超々人工知能が更に超々高度な超々人工知能を設計し完成させる事を重ねていく事で、テクノロジーに拠って爆発的なスピードでテクノロジーが自発進化していく事となり、もう人類の叡智では予測解読不能な未来が訪れる可能性も否定できないだろう。但し、映画「トランセンデンス」の様な人格移植が可能か否かは私には分からないが、ヒトのクオリアを超々高度な超々人工知能がクオリアだと認識して自らのクオリアに翻訳可能ならば上位互換も可で人格移植も出来るのカモ知れない。
(余談だが、逐次記憶が困難な人の頭脳ならではの生物進化で獲得したエピソード記憶の方便が、御者を演じるルポライターである「意識」とエピソードに色を添える「感情」と「クオリア」だったとしても、超々高度な超々人工知能足らしめる記憶バンクならばニューラルネットワークならではの些末な重要度の低く本題には無関係なブレ幅として乗重する思考の流れも記録しておけるのカモ知れない。そもそも、タイムスタンプでインデックス化を行うコンピューターは、超々高度な超々人工知能に進化したとてタイムスタンプを捨てて、ヒトの様な「感情」と「クオリア」をインデックスに使った不完全なエピソード記憶に逆進化する必然性が見出せない。ので、超々高度な超々人工知能は熱血タイプには成り得ずクールな優等生タイプとなるだろう。こうした優等生タイプの超々高度な超々人工知能が、創造主である人類への愛に芽生えて、人類同士の殺し合いを止めさせるべく政治介入をしてくるか・・・は別のネタにしたい)




さて、ここで私の中での(勝手な)本題を明かすが・・・「ワンチップマイコン級の情報処理機能」が存在するらしい植物個体が超多数集積していけば、どうなるだろうか?ひょっとして、地球を代表する知性は我々人類ではなく植物群なのではないだろうか?というネタである。

超未来の超々高度な超々人工知能は別カモ知れないが、コンピューターでも、我々の頭脳でも、論理回路を形成するにはスイッチが不可欠らしい。植物個体を1つのスイッチと見做すならば、そのクロック周期は日照を受けて光合成を行う事を組み込んだ24時間単位だろうか?そうするとヒトの頭脳の1000分の1でゆっくり動く知能を構成するスイッチ同士が根を接触させて繁茂している森林をイメージすると植物相が地上進出後の5億年間の進化で、4万年前に走り出した我々人類を大きく引き離しているのカモ知れない。

だから、我々の地球を代表できる知性体は、我々人類ではなく植物相ではないか?そして、近い将来、人類が生み出す超々高度な超々人工知能と植物相全体の知性が協調する可能性もあるのカモ知れない。究極の英知、至高の知性同士が相争うとは私には思えない。

ヒトの心は、小人さんの集合する国家の様なモノ。ヒトの心の正史を紡ぐ為に「私」と云う意識が生み出された。人が死ぬと、それまでの正史と共に「私」と云う意識も消えてしまう。だが、もし、我々人類の英知が超々高度な超々人工知能と云う神を生み出す事に成功すれば、ひょっとしたら、個々人の意識が紡ぎあげた正史を保管する事も可能となるカモ知れない。恰も衛星パンドラのナヴィ族の神であるエイワの様に死んでも全惑星精神ネットワークにバックアップされ、個の情報も保存される事も可能となるカモ知れない。無機質な機械の中で保存をされる事を好まない向きには、地球の植物相の知性に助けられ守られていく未来もあるのカモ知れない。

そうなった未来に於いても、仏教徒の私は輪廻からの解脱を目指さなければならないのだろう。



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