2020年2月11日火曜日

雑誌で展開されている医療ネガティブキャンペーンについて

昔、「医者からもらった薬がわかる本」がベストセラーにななり、我が家も買った事がある。尤も、この「医者からもらった薬がわかる本」シリーズは31版を数えていて需要はそれなりにはあるのだろう。だが、スマホを持ち歩く今なら処方薬なんか検索すれば直ぐ判るので最近は(初版の頃以降)買っていない。



出張の新幹線での退屈凌ぎに時事系月刊誌か週刊誌を買う習性があるのだが、最近良く目にするネタに「医者自身なら拒否する治療や処方薬」シリーズや、「医者に言われても受けてはいけない手術・飲み続けてはいけない薬」的な記事だ。




医療や医薬には、リスクとベネフィットがそれぞれ存在し、ベネフィットだけが存在する治療は無い。医師は、それを承知の上で治療方法を決め投薬を決めるのだが、そして長期に亘って治療を進める過程で、件の雑誌記事の切り抜きが登場するのだそうだ。



この薬は認知症のトリガーに成り得ると書いてある高血圧で死ぬ方が認知症で死ぬより私は幸せだ!と主張されると医師としては「飲み続ける方が有益と云うエビデンスがある一方、飲まない方が良いと云う明確なエビデンスは無いので飲み続けた方が良いと私(医師)は思うし、副作用については定期的にフォローして確認をしているツモリですが、最終的に決定するのは貴方(患者)です」としか言い様が無いだろう。



これで治療中断や投薬中断になったケースがどの位あるのかは判らないが、こう頻繁にネガティブキャンペーンが展開されると、多分、多くの医師の治療活動に迷惑が生じているのでは無いかと勘ぐりたくなってしまう。



そもそも、こう云った雑誌記事は絶対駄目だとは書かず、アンケートに答えた複数の医師の集計結果で数字を出し、極々少数の医師に何故かと理由を尋ねて記事に仕立て上げているので、「自分は食生活に気を付けるので、この薬は不要だ」と云う医師の個人的な選択が数字になっているのカモ知れない。末期癌なら心穏やかに過ごしたいと思う医師個人の「矜恃」と云うか単なる希望なのカモ知れない。



雑誌記事の目的が、医師の説明不足に対する問題提起ならば医師や医療従事者の努力不足なのだろうが、こうした無責任な記事が、説明に費やす無駄な時間が増える事で医療を妨害する事にもなるのでは無いだろうか?



又、逆に、美容目的の保湿化粧品を買うよりも病院で医薬品を処方してもらった方がお得だと云う記事も散見したが、それに拠って「ヘパリン類似物質油性クリーム」の処方が難易度が上がったり、消炎鎮痛ハップ材なんかが処方から外れるなんて報道を目にする事になった。結果的に、真に必要な人も自費購入しなくてはならなくなってしまうのだ。




他にも「買ってはいけないモノ・シリーズ」も市民権を得ている。過去に立ち読みした時の記憶では・・・説明を読んだら納得する内容の代物も有れば、トンだ似非科学に基づく嘘八百もある・・・と思ったモノだ。自らの判断に自信が持てない場合、権威に頼る人が増えているのだろうと思う。




・・・と書いてきて、具体的な内容を少し見てやろうと検索を掛けたらGoogle検索の優秀な販売促進機能は『「買ってはいけない」は買ってはいけない』とか『「買ってはいけない」は嘘である』とか『本当に「買ってはいけない」か!? 決定版! これにて落着!!』とか批判本の宣伝が表示されるようになってしまった。









「買ってはいけない」で扱われたモノを買おうが買うまいが書籍(か雑誌)を買って欲しいと云うと云う事だな・・・


















やれやれ・・・






















(文字が小さいとの苦情を頂いたので、文字サイズ「大」と致しました。如何ですか?)

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