2014年9月29日月曜日

円安なら上手くいく?

2009年の選挙の時に民主党は「国民の生活第一」と言って消費税増税を4年間は議論すらしないとした。他にも、政権交代こそが最大の景気回復だとか、埋蔵金60兆円を発掘するとか、公共事業費9.1兆円の無駄を削減するとか、公務員の人件費を2割削減して天下りを許さないとか、暫定税率を廃止するとか、赤字国債を抑制するとか、沖縄基地は最低でも県外移転とか、内需拡大して景気回復とか、コンクリートから人へとか、高速道路を無料化するとか、日経平均株価を増大させるとして民主党に依る歴史的政権交代を決定付けたのが円高対策だった・・・と思う。円高こそが諸悪の根源で、円高さえ是正されれば日本は安泰と云う間違ったイメージで国民を操縦した。その結果、政権交代は実現した訳だ。因みに、上に挙げた民主党のマニフェストは何一つ実現しなかった訳だ。

選挙戦略とは云え、事実とは異なる嘘を喧伝し、その嘘の世相を形成した。民主党は信じられないが、民主党が云っていた「円高こそ諸悪の根源」だけは置き土産として国民全体のコンセンサスとして残ってしまったのだろうか?

天然資源を持たない我が国の戦後復興は、加工貿易に依って外貨を獲得して実現した。バブル経済及びバブル崩壊後の失われた20年の原因は、当時の米国経済が抱えた問題(貿易赤字と財政赤字)を解消する為に押し付けられたプラザ合意に端を発すると別ブログ過去記事でも書いてきた筈だ。プラザ合意とは、米国の為に「円高ドル安」へ強いる内容だった。その結果として、「円高ドル安」が進行して、我が国の輸出企業は円高に耐えかねて生産拠点の国外脱出を進めて産業の空洞化が進行してしまった。今更、円安に戻そうが既に生産拠点は国内には無いのだから円安誘導は景気回復には繋がらないと云う事は、先輩国である米国を見れば明らかだ。

選挙に行く世代のコンセンサスが、戦後復興を遂げた我が国日本は加工貿易の国であり続けていると勘違いしている事こそが、間違った世論を作り出し政策を過たせるいるのだ。そして、その間違った認識によって、円安なら株高と云う不思議な状況を作り出してもいる。

実際問題、我が国の経済環境は90〜95円/ドルと云う為替相場の中で円滑に機能するように改変されてきていて、それが90円を割り込む円高で破綻した訳だ。だが逆に、金融緩和に依って100〜110円/ドルと云う異常な為替相場の中では上手く機能しなくなっているのも事実だ。

そして、更に・・・GDP世界2位を中国に奪われた(人口や国力を考えれば必然だが)事で衝撃を受けた我が国国民は、民主党の間違った説明「円高によって国力が低下した」に欺された。実際は、(残された国内での輸出企業を圧迫するだろうが・・・)円高が進んだ方が抜き返す事も出来たのに、円高こそが諸悪の根源だと思い込んだのだ。

今の我が国経済を主導するのは、内需であり輸出と云った外需のウエイトは低い。我が国は加工貿易の国から、商社的な国に変わっていたのだ。本来の正しい経済政策は、更に内需を拡大すべく国内のサービス業を育成する事だったと思う。産業空洞化の先輩国である米国では、現にサービス産業が内需を牽引しているのだから・・・。

だから、円安が株高と云うミスジャッジによる株価形成は、メッキが剥がれてしまう日が遠からずやってくる事になるのだ。そうなる前に(円高だった頃に)、正しい施策を我が国が後押しして実現出来ていれば・・・失われた20年は早期に解消し我が国は新たな経済発展の途を邁進していたと思うのだ。

それは、別ブログ過去記事では何度も書いてきた「円ドル為替相場に左右されない企業経営」だ。国外に展開した生産拠点を為替相場に合わせて畳んだり新設する必要は無い、日本国内も含めて複数の経済圏を跨がる生産拠点の稼働率を変化させる事で、為替相場の如何に限らず一定の利益を確保し続ける仕組みを構築する事だ。複数の生産拠点を複数の経済圏に展開できない規模の企業は、円ドル相場に左右されない経済活動を実現する為にドル建て決済から脱却する為に、複数企業で共同してユニオンを造るべきだ。原料調達から輸出まで、円高に支えられた最強の通貨で決済する共同体・・・これを我が国政府主導で整備するべきだったのだ。そして、円高を背景に、国外の競争相手企業を買収し続け、企業活動を中心に全世界への影響力を増す事。これこそが、明治維新以来の我が国の宿願だった筈だ。

兎に角、アベノミクスで浮かれて日本経済が迷走する前に「円安なら上手くいく」等との間違った価値観は忘れ去った方が良い・・・と云う話である。


2014年9月16日火曜日

まさか、ジフテリア?

健康の為に夜食を食べてはいけないのだが・・・深夜にお腹が空いてしまった。

仕方が無いので・・・夫婦連れ添って吉野家に牛丼を食べに行った。(夜食に牛丼大盛は拙いだろうけど並盛では足りなさそうなので・・・)

注文を終えてカウンターに座っていると、若い男のお客さん2人連れが入ってきた。その内の御1人は、特徴的な咳をし続けている。特徴的な咳と云うのは、まるでケンケンと云った犬の鳴き声のような咳である。注文をする時や水のお代わりをする時には、咳を止めて普通の声で注文はできるのだが、気を抜けば10秒毎に5〜6秒間ケンケンと咳をしている。息を吸う時にはクゥ〜クゥ〜と喉から『吸気性』の喘鳴がしている。 犬吠様咳嗽と吸気性喘鳴と云ったクループ症候群は、急性上気道炎で発症する。彼は、牛丼を嚥下しようとするとケンケンケンケンケンケンと苦しそうに激しく咳き込んでいる。既に食べ終わった私は、妻には申し訳ないがサッサと退席して店から出たい気分で一杯である。

他人の健康状態に不寛容なのは紳士的では無いとは思うが、クループ症候群を引き起こす急性疾患として真っ先に思い付くのはジフテリアだ。ジフテリアは大部分が不顕性感染に終わるが、もし発症し最悪のケースでは重い障害を負う事にもなりかねない怖い法定伝染病である。(私の年齢だと、DT2種ワクチンを接種されている筈なので恐らく罹らない筈だと何度か自分自身に言い聞かせた)

私は医師では無いので咽頭部を診て偽膜を確認する訳にもいかないし、発熱はあるのか、いつからクループ症候群が続いているのか聞いてみたいが根拠に欠ける。病院に行った方が良いですよと云う当たり前すぎる助言も大きなお節介だろう。結局、悶々と心の中で自問自答しただけで妻が食べ終わるのを待って急いで店を出たダケだった。

帰りの車で、急いで店を出た理由を妻に説明したらガミガミと叱られてしまった。何故、直ぐに出ようと云わなかったのか?身を以てDTワクチンの永年有効性を試す必要は無いだろうと家に帰り着いても延々叱られ続けた。

インフルエンザの流行シーズンに「咳エチケット」が公益社団法人ACジャパンのTVCMでは流れていたが徹底されてはいないようだ。こんな体調で牛丼屋に牛丼を食べに来るのだから、急性疾患ではなく慢性的にクループ症候群を起こしている方なのだろうか?喘息の発作でも起こり得るだろう。だとしたら、本当に申し訳ない事を考えてしまった事になる。だが、多くの人々が食事に訪れる場所で咳をし続けるのは感染症予防以外の観点からも自粛頂くべきでは無いだろうか?

そう頂かないと・・・ズブの素人がジフテリアだと勝手に思い込んで連れ合いからガミガミと叱られる事になってしまう。デング熱騒動も冷めやらぬまま、地球温暖化の性か国際化の性か、我が国は今までは問題にされなかった感染症を心配しなければならない国になりつつある。互いを思い遣り互いを尊重し気持ち良く生活していく為には、お互いにマナーを守る事も必要なのでは無いだろうか?