2013年11月2日土曜日

神戸地裁の異例な判決

「永久に発進できない」 車の死亡事故で過失認めず無罪 神戸地裁 - MSN産経west:

2013.10.29 08:20 [westナビ]

 兵庫県西宮市で平成22年12月、車を運転して事故を起こし、5人を死傷させたとして、自動車運転過失致死傷罪に問われた同市の男性(44)の判決公判が28日、神戸地裁尼崎支部で開かれた。飯畑正一郎裁判長は「過失はない」として無罪(求刑禁錮1年4月)を言い渡した。

 男性は22年12月4日夜、乗用車で西宮市内の駐車場から国道171号に出ようと左折。右側から来た軽乗用車が接触し、軽乗用車が対向のタクシーなど2台に相次いで衝突した。この事故でタクシーに乗っていた男性=当時(78)=が死亡、男女4人が重軽傷を負った。

 飯畑裁判長は判決理由で、右側から来た軽乗用車が制限速度を約20キロ超過する時速60キロだったと認定。「左折時は右後方約90メートル離れた地点におり、気付くのは不可能。被告に安全確認を求めると、永久に発進できなくなる」と述べた。

 検察側は論告で、男性が右側の安全確認を怠ったと指摘。弁護側は、事故は回避できなかったなどと主張していた。

 神戸地検尼崎支部の中條●(=隆の生の上に一)二支部長は「判決内容を精査した上、しかるべき対応をしたい」とコメントした。








人身死亡事故が発生すれば何が何でも運転者の過失としてきた(と、私には思えていた)が、これは異例の判決であると思う。路外から直進車の前に左折して出てきた車と、制限速度を超過して直進してきた車が共同して為した不法行為に対して、刑事事件上では無過失=無罪としたモノだ。

「左折時は右後方約90メートル離れた地点におり、気付くのは不可能。被告に安全確認を求めると、永久に発進できなくなる」と云った状況に陥る道路環境は至る所に存在するだろう。私自身も、そんな状況に陥って困った事になった事は何度となくあった。だが、幹線道路に直接接道する駐車場から出庫する際に、この「被告に安全確認を求めると、永久に発進できなくなる」と云う判決理由が罷り通っては非常に困った事に成ると思う。


止まない雨は無いし、夜明けの来ない夜は無い。「被告に安全確認を求めると、永久に発進できなくなる」とは・・・貰い事故で亡くなった方には通用しない理屈の筈だ。最寄りの信号が赤になり安全確認を経ても発進できる好機を待つと云うのが普通の対応だと思うのだ。

速度超過した軽自動車の過失と、右側の安全確認が出来ない場所に駐車場を設けた設置者の過失と、「安全確認を求めると、永久に発進できなくなる」場所の駐車場設置者の充分な注意喚起を怠った管轄警察署の過失等々は存在するのカモ知れない。だが、左折車が無過失=無罪とは素直に肯けない。

何故なら、素人目にも「永久に発進できなくなる」とは思えない。だが、判決的には・・・国道171号を走る軽自動車が制限速度を守ってさえいれば起きなかった事故なのだと云わんばかりである。「右後方約90メートル離れた地点」から直進する軽自動車からは、左折してきた自動車は無灯火で無い限り確認は容易だった筈だ。時速60キロなら空走時間1秒を引いても充分に停止可能である。その後の事故の推移を見ても、恐らく、その軽自動車の実際の速度は「制限速度を約20キロ超過する時速60キロだったと認定」されたよりスピードが速かったのだろうと思う。その危険行為をクローズアップする為に、左折車は無過失=無罪とした異例の判決になったのだと思う。

以前の・・・〔見通しを妨げた)路上駐車車両に人身事故の過失を持ち込んだ判決にも驚いたが、今後は直接の因果関係を判断する判決と云うのが増えていくのカモ知れない。これは我が国司法の前進だと評価したい。

私自身は、他の交通違反と比べて軽度な速度超過は特段問題は無いだろうと寛容に思っていた口だが、道路環境に因っては軽度な速度超過でも「安全確認を求めると、永久に発進できなくなる」ケースも起こり得ると云う事を再認識した次第。夜間の一般幹線道路・・・時と場合に依っては制限速度を約20キロ超過する時速80キロ位で流れている事がある。私が正義の味方なら断固制限速度を守って走るのだろうが、卑怯で姑息な解決方法だが・・・先頭を走る時は制限速度を守ろうと思った次第。

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