2013年11月7日木曜日

妻との口論

男は単純明快で判りやすい精神構造を持っている。云ってしまえば幼稚で子供っぽい。そんな男が、ついつい口論に突入してしまう時・・・自分の中の瞬間的な怒りに突き動かされた時(イラッときた時)なのだ。男性の精神は幼稚で子供っぽく単純である。だが、男性がウッカリNGワードを発した瞬間、女性の複雑なスイッチパネルに火が入るのである。



こうして妻との口論に発展してしまうと・・・他愛の無い目先の単純な問題への怒りだけだったのに、昔の事を色々と穿り返されてネチネチと云われてしまう。いや、その、あの・・・、そんな長年に亘る大袈裟な話では無くて、目先の卑小な話の筈だったのに・・・。結局、男が感じた怒りへの問題解決が為されぬまま「分かった!もういい。分かったから・・・」と白旗を揚げる事に成ってしまう。

人類誕生からの長い長い時間を重ねて培われた男性と女性の役割分担を上手く果たす為に進化した男性と女性の心の仕組みの違いを理解しなければ勝ち目は無いのだ。「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」(彼を知らずして、己を知れば、一たび勝ちて、一たび負く。彼を知らず、己を知らざれば戦うごとに必ず敗る)である。

女性が昔の事を根に持つのは、嫌な目に遭わせられた記憶を忘れては困るから・・・である。女性は「子を産み・育てる性」であり、女性自身と子供の身を守る事を何よりも優先するように進化してきた。自分に加えられた危害を忘れてしまうと、又、同じ人に嫌な想いをさせられるカモ知れない。再び、嫌な思いをしなくても良い様に、嫌だった記憶を手近な引き出しやすい場所に留めておくのである。女性の脳は、不快な感情を大脳新皮質で処理する。大脳新皮質は、理性・知性・言語と云った高次な精神活動を担っている部分であり、女性はネガティブな感情を理性と知性の助けを借りて高度な言語化を加えた上で長期記憶に蓄えるのだ。

それに比べて男性は、感情を扁桃体で処理する。扁桃体は記憶の蓄積に重要な役目を果たしている事は判っているが扁桃体が無くても(壊れても)記憶の形成に支障が無い事も判っている。昨今のうつ病の研究では、この扁桃体からのストレスホルモンがうつ病に大きく関わっているらしいと発見されたのだそうだ。この扁桃体の働きで「根拠の無い自信と、その根拠の無い自信に裏付けられた努力を継続する力」と云った男性の直向きな前向きさは、この扁桃体が生み出しているのだそうだ。男性が、感情全般を大脳皮質では無く扁桃体で処理する最大の理由は、言語化する事よりも空間認識化なのだそうだ。

男性性と女性性の役割分担の中で、女性性は「子を産み・育てる性」と同時に群れで狩猟に出掛けた男性を待ちながら食料の採取を行い、男性性は男性である仲間達と共同して群れで狩猟に出掛けたのだろう。狩りに出掛けても必ず獲物が仕留められるとは限らないが、女性には真似の出来ない「努力が報われない事を恐れない」とか「勝ち目の無い闘いに挑む」という「根拠の無い自信と、その根拠の無い自信に裏付けられた努力を継続する力」無しでは果たせない任務に駆り立てる源泉であると同時に、狩猟の場所で有利に立ち回る為には、ネガティブな感情も交え空間認識化した記憶を保持する方が有利である。痛い目に遭った地理的要件・特定の場所、獲物を仕留められた地理的要件・特定の場所を覚えておく事が狩猟に有利に働くのは言うまでも無い。共に狩猟する仲間である男性に、クドクドと面倒臭い言語能力を駆使して伝えるよりも、空間認識知を働かせた機先を制し一生懸命獲物を追う迫真の努力で士気を鼓舞し狩猟を成功させたいのだ。その為には言語化よりも狩猟に有利な処理方法を優先させた訳だ。

基本的に、扁桃体は海馬と同じく短期記憶を司る場所であり、男性の記憶は、言語化を要する複雑な事情は加味されず雰囲気や場所に対する好悪感情のみが側頭葉に蓄積されていく。だが、女性は大脳皮質で万物の霊長足る人類の誇る能力である理性や知性を交えて言語化した記憶を側頭葉に蓄積していくのだ。男性の脳は感情を編み目から素通しさせて溢してしまうザルであり、女性の脳は感情を理性と知性の助けを借りて言語化してドンドン蓄えるバケツである。

この雰囲気は何だかマズイこの場所は何だか落ち着かないと云う捕獲された野生動物のような朧気な記憶を以て男性は、万物の霊長足る人類の理性・知性を備えた記憶を持った女性と対峙するのである。正直に云おう・・・、言葉による男性と女性の闘いには、こうすれば勝てる等と云う秘策は無い。口論では勝てないからと暴力に訴えるしかないのだろうが、それでは悪しき連鎖の連続から抜け出す事ができない。ザルはバケツには敵わないのだ。

更に困った事に、ザルは素通しだがバケツはネガティブな感情がドンドン溜まり続けてしまう。必ずバケツが一杯に成る時が来るのだ。そして、一杯になったバケツがひっくり返る時に女性は、可哀想な野生動物のような健気な男性を、万物の霊長足る理性と知性の助けを借りて糾弾しようとするのである。その女性の感情バケツが引っ繰り返る様を表現する言葉がヒステリーである。古来より、女性特有の疾患との誤解から子宮に原因があると誤って信じられていた為、古典ギリシア語で「子宮」を意味するヒステリアが語源である。

言語能力に於いて男性を大きく凌駕する女性が、一杯になったネガティブな感情をぶちまけるヒステリーに陥ってしまえば、当に「ババにしっかりつかまっておいで こうなっては もう誰にも止められないんじゃ」状態である。この状況から闘っても男性には勝ち目は無い。勝つ事は出来なくても負けない事は出来る。それが最善最良の途である。

その起死回生のキーワードは「受容と共感」である。男性は絶対に反論せず兎に角聞き役に徹する事だ。そして、「それは辛かったね。僕が悪かった。」と共感を示すのだ。バケツの中のネガティブな感情が少なければ良いのだが、多すぎる場合は女性自身もコントロールを失って昔の事を繰り返し繰り返して責め立ててくる時もある。ここで一時の感情に突き動かされて下手な反論をしてしまっては火に油を注いでしまう。そもそも男性は、そんな昔の事なんか良くは覚えて居ないのだ。ザルの野生動物が、人類の英知をバケツに詰め込んだ相手と闘っても勝ち目は無いのである。だから、「そう云う事もあったなぁ。あの時は僕が悪かったよ。辛かったねぇ」と声を掛けるべきである。

男性性と女性性の長年の役割分担が生んで互いの理解が進まない事の1つに、男性は迅速な問題解決を果たしたい生き物であると云う事実が在る。仕事でも家庭でも、何か問題を持ち掛けられると何らかの問題解決を迫られている風に男性は感じてしまう・・・そうだ。だが、ネガティブな感情が爆発しヒステリーを起こしている女性の言葉には問題解決の意図は無い。バケツが倒れて人類の英知で言語化した言葉が、タダ単に溢れて溢れているダケに過ぎない。当事者で無ければ雑巾で拭いてお終いなのだ。だから、本当は問題解決を必要とはしていないと知るべきだ。

女性の言葉をしっかりと聞いて「受容」し、その時の感情に「共感」したと声を掛ける。それを1巡・2巡・3巡した後に「確かに、君の云う通りだし、君が怒るのは当然だ」と「支持」して、「もう、こんな事が起きないように、方法を考えよう」と「保証」し「説得」を試みるのだ。再び過ちを犯さない説得案の選択肢を男性は素早く(且つ、自らを気遣って)お手柔らかなプランを選択肢で提示し、どれかを女性に選んで貰うべきだ。何故なら女性は、選択するのが好きな生き物だから・・・。

男性は幼稚で子供っぽいから、女性の言葉を真剣に聞いて受け止めていると腹が立ってくる事が多いし価値観の相違に悩む事に成る。だから、女性の話す内容を真剣に聞かず、さりとて女性から見て真剣に話を聞いているフリが出来る偽装が不可欠だ。

では、実際にシミュレーションをしてみよう。皆さんは、山手線の駅名を覚えて居られるだろうか?山手線ゲームに参加する為には不可欠だ。山手線の駅名を東京駅から順番に頭の中で唱えていくだけである。

「東京」「有楽町」「新橋」「浜松町」「田町」「品川」「大崎」「五反田」「目黒」「恵比寿」「渋谷」「原宿」「代々木」「新宿」「新大久保」「高田馬場」「目白」「池袋」「大塚」「巣鴨」「駒込」「田端」「西日暮里」「日暮里」「鶯谷」「上野」「御徒町」「秋葉原」「神田」

ターミナル駅(東京、品川、代々木、新宿、池袋、田端、日暮里、秋葉原、神田・・・等々)では「なるほど」「確かに」「本当だ」と相槌を入れる。(込み入っていて、頻繁な相槌が必要な話の場合はJR以外の私鉄ターミナルも入れるべきか?)東京駅まで回ってきたら「確かに、君の云う通りだし、君が怒るのは当然だ」「それは辛かったね。僕が悪かった。」と「支持」を入れてみる。それでヒステリーが納まれば「保証」「説得」に移行すれば良いのだが、恐らく2巡3巡4巡は最低必要だろう。別に山手線駅名で無くても、例えば・・・山陽自動車道のIC・SA/PA・JCTでも良いのだが、どうせ1巡では女性の話が終わらないので環状線の方が都合が良い。こうしておけば絶対に言い返したり言い訳したりしないので、女性の主張を真剣に受け止めて聞いている風に見えるだろう。

こう書くと世の女性の反感を買うかも知れないが、その状況を当の女性自身でもコントロール出来ない筈だから、その円滑且つ円満な解消の為に真摯な面持ちで相槌を打っている連れ合いが山手線の駅名を唱えているとは思わない方が幸せと云うモノだ。どうせ怒りの根源は、男性性と女性性の共有出来ない別々のブラックボックスの中での作用である。

尚、中世ではヒステリーの治療法として、女性器への適切な刺激が有効だという医学的所見が為されていた(JP.Wikiのヒステリーの項目「治療と医学的見解」を要参照の事)。幼稚で子供っぽい大多数の世の男性は・・・そう云った方法で治療を試みるのが古今東西普遍的なのカモ知れない。古来から「大人のおもちゃ」はヒステリーの治療器具だったなんて「ヒステリア」(コメディ映画)でも御覧になって笑ったら良いのカモ?

ヒステリア予告編

どうしても納得できない、ムカつく!という場合は、こう考えてください。人間関係は「賢い方が引く」ことで、うまくいくケースが多いんです。

0 件のコメント:

コメントを投稿